いわゆる裏的な
Posted by 瑞肴 - 2010.01.30,Sat
越境。
なんだかよくわからないけど、犬と猫の話。
越境ではありますが、ノーマルアカ鷲前提で。
鷲巣が、『犬を拾った』と言うので興味を引かれた。
動物をどうこうしようという心が鷲巣に存在していたのを、意外に思ったから。
「見たい」
極シンプルなアカギの言葉に、鷲巣は片眉を上げる。
アカギはアカギで、動物をどうこうしようという男ではないのを鷲巣巌は知っていた。
「見てどうする」
「…アンタは動物に興味がないと思ってた」
数秒沈黙の後、鷲巣の口端が僅かに上がる。
「餓鬼め。それ程気になるなら見せてやろう」
一見かみ合っていない会話はかみ合っている。
アカギは、鷲巣の『意外』を読み切れなかったのが不満なのだ。だから直接『意外』を確認しにいこうとしている。
理解したから、鷲巣は哂った。
鷲巣の邸には幾つも部屋がある。
何度か角を曲がり階段を上がり、案内された一室。白服が扉をノックすると、中から人間の声で返事がかえった。
「どうぞ」
白服は部屋には入らないようだ。
遠慮する理由もないアカギはドアノブを握り、扉を開くと部屋へ踏み込む。
簡素な部屋だった。
客室、よりは、使用人部屋のような。
「………」
アカギの視線が、これまた簡素な椅子に腰掛けていた男性へと注がれる。
男性は、驚いているようだった。
あからさまではないが気配が強張っている。
だが、質問が出来る立場ではないらしい、何かを聞きたそうにしているものの、口から問いが零れる気配はない。
「成る程、あんたが犬か」
よく調教されている。
自らの意思のみで動くことに制限を掛けた相手に、納得したアカギがひとりごちた。
確かに、そういう表現をするなら鷲巣は”犬”を好んでいるだろう。
「……」
怪訝と警戒と不快を乗せた視線。
別段焦らすつもりもないアカギは種明かしをした。
「鷲巣が、犬を拾ったっていうから見せて貰いに来た」
男の顔が僅かに歪む。
否、歪むというならば。
男の額には目を背けたくなるような酷い火傷の痕があり、顔中に転々とその火傷は散らばっていた。
「…犬、か」
自嘲か憤りか、そんなことはアカギには興味がない。
「君は、何だ?」
中々適切な問いだと思った。
「俺は」
この男や白服たちが犬だというなら。
「猫だよ、鷲巣の」
鷲巣は猫が嫌いだ。
勝手気儘に自己中心、何者の束縛も意に介さないものは、支配できないから。
だから鷲巣は猫が嫌いだ。鷲巣巌が猫だから。
男は今度こそ怪訝な顔をした。
そこで興味を失ったアカギは、男に背を向けると部屋を出て行ってしまう。
まるでわけのわからぬ来訪者に、部屋の中で男は苦く呟いた。
「なんなんだ、あの若造は…」
男の名は、利根川幸雄という。
PR
Comments
Post a Comment
カレンダー
カテゴリー
最新コメント
[01/18 スーパーコピー バッグ 口コミ]
[01/16 スーパーコピーブランド財布N級品]
[11/06 シャネルスーパーコピー]
[10/20 ブランドバッグ・ブランド財布N級品販売通販]
[02/11 瑞肴]
最新トラックバック
プロフィール
ブログ内検索
最古記事
アクセス解析
Template by mavericyard*
Powered by "Samurai Factory"
Powered by "Samurai Factory"