いわゆる裏的な
Posted by 瑞肴 - 2010.02.02,Tue
オリジナル。
にふにふと、笑っている。
酔いが回ってきたのだろう、まあ機嫌が良いのなら構わない。
道化の名を名乗る男は、にふにふと笑い続ける爺の頭を肩に乗せたまま庭を眺めていた。否、正確には視てはいるが見てはいないのだけれど、それはひとまず置いておいて。
夜の庭。
植物で埋め尽くされた庭に何が生えているのか、知らなくて良いことも世の中にはあった。
黒い空から、粉雪が降ってきて男は片眉を上げた。今日は寒いさむいと思っていたら、氷点下になったらしい。
「――ァ」
「…ん?」
細い指が黒い庭を指した。
不可思議な月は雪の降っている間も月光を注ぎ続けており、それを受けて雪はちらちらと細かに輝いていた。白に銀にゆらゆらと舞う。
「ホラ、見てミ。キレーだヨ」
やはり酔っているらしい。随分情緒的だ。
「あー」
同意を示されれば、肩に置かれた頭が揺れる。笑っている。
「アンタが其処に立ったら、映えるだろうな」
「…………雪ガ?」
今度は男が肩を揺らして笑った。置かれた頭は硬直している。
「『雪に』」
「………ナンナノこの人、なんデそーゆーコト言うノ? タラシ…」
暫し、沈黙の時間。
しんしんと雪は、庭の黒い緑を覆っていく。
「…耳赤い」
「酔ってルの!!」
ああそう と、まったく微塵も気が乗っていない返答をして、男は僅かに酒の残っていたグラスを手に取り、口をつけた。
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