いわゆる裏的な
Posted by 瑞肴 - 2010.10.23,Sat
今回は俳パロアカ鷲視点から。
最後のみBASARA3現代パラレルとクロスオーバー。
最後のみBASARA3現代パラレルとクロスオーバー。
「っ鷲巣さん! 鷲巣さ、ん、だいじょ、ぶですか…?」
大丈夫だいじょうぶ、と応えるけれど、同時に、どうしたものかとフルに頭を働かせる。
つい先程、鈍い音を立てて鷲巣の足首に旅行用のスーツケースがぶつかった。
咄嗟のことだったので避けられず、近くの街灯に今度は肩をぶつけたところで血の気が引いた。
痛みからではない。小ぶりなスーツケースを引いていたのは女性だったが、隣を歩いていたアカギの目があまりにも透明で、色を失っていて、これはいけないと直感したのだ。
驚くべきことに(鷲巣にとってはさして驚きでもないけれど)、アカギがそのとき目に浮かべていたのは明確な「殺意」であった。非難も嫌悪も生易しいといえるほどの、感情。
この子供は真っ直ぐ過ぎる。
そうして鷲巣は、最も適切な、気を反らせるための言葉を選び出した。
痛い。
口に出せば、アカギは直ぐに視線を女性から鷲巣へ戻す。
そうして冒頭の台詞である。
「少し、ね、驚いただけだから、そんな酷い痛みではないよ」
「で、でもっ、音がするくらい強くぶつけてっ… …っ、病院に…っ」
既にアカギの中から、鷲巣への心配以外の感情は吹き飛んでいるようで、ああ良かったと安堵したのも束の間。
「っ!! アカギ君…っ」
一瞬の油断が命取り。鷲巣の体は既に宙に浮いている。――アカギの両腕に、抱き上げられて、姫抱っこで。
「歩いちゃ駄目ですからっ、じっとしてて下さい! 確かさっき通ったコンビニの横がお医者さんだったはず…」
「いや、あのねアカギくん」
「あれ、あれ歯医者だっけ、歯医者さんって打撲も診てくれるのかな、大丈夫ですよね」
「アカギくん、あまり目立つのは良くないから、降ろ…
「駄目ですっ!」
ああ、そんな大声で…。君も私も一応結構に有名人な上、風貌からして目立つというのに…。
既に、視線は集まりつつある。
せめて、せめておんぶに…。
妥協案を提示したいが、アカギはもう「聞こえてるけど聞こえてない」状態だ。悪いほうに煽りかねない。
鷲巣巖は諦めた。
諦めたら、開き直るのは早い老人である。
早足どころか走り出しかねないアカギの腕に大人しくおさまって、運ばれることにする。
車を呼んでも良いのだが、それを言い出すのは野暮だろう。けれど多少噂になってしまうだろうこれをどう片付けたものだかねえと悩みながら、腕の中。
そうして、数分揺れただろうか、なにやら注目とは別種の視線を感じた鷲巣は送られてくる眼差しの主を人ごみの中に見つけ出した。
――これはまた、面白い偶然もあるものだね。
視線の主は、凛々しい顔立ちの青年に背負われて移動させられているようで、彼(顔まで包帯が巻かれていて判別はしがたかったが、体格からして「彼」だろう)も己と非常に似通った、悟りきった眼差しを投げている。
それでも、その腕から離れない理由があるのだろう。
難儀だけれど、しょうがないねえと、鷲巣が笑いながら呟いた。
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