いわゆる裏的な
Posted by 瑞肴 - 2010.10.19,Tue
BASARA3 3の世界より10年前後昔の話。
大谷さんと三成と、官兵衛さん。
大谷さんと三成と、官兵衛さん。
皮膚が爛れ、捲れ、いつまでたってもジュクジュクと身のうちから滲み出る体液で湿っている。
酷く薄い肌は風が触れるだけでも痛む。だから薬を塗って包帯を巻くのだが、
そうするといつまでも乾かない皮膚の不快感は深まるばかり。
熱をもつ体は、張りつつある皮膚と剥がれ落ちる皮膚によって、
ただただ八つ当たりに叫び出したくなるほどの痒みを発生させた。
「~~ぅ゛あ、…ああ…」
身を捩る。
衣に擦れる肌が痛い。頭にまで及んでいる爛れ、髪の一本が触れるだけでも気が狂いそうに痛い。
生の肉に直接触れる、なにもかもが痛い。痒い。
しかし掻き毟りでもしようものなら、もっと酷い痛みが後で襲ってくる。
「あ゛ー… ……ぁー……っ」
これほどの苦痛しか生まないなら肉などいらぬ、骨だけで構わぬ、肉などすべてこそげ落としてしまいたい。肉。肉がなければ生きていけない、戦場に立てない。
全身の火照りを冷ます術を持たず、大谷はただただ小さく蹲った。
水も風もこの身には刺激が強すぎる。
「ヒィー、ッヒ、ッヒ、…」
引き攣ったか細い笑い声を漏らしたのは、怒り尽くし嘆き尽くしたからだ、もう、笑うしか残されていない。
「ひぁ゛… っげほ! ゲホッ、ゲホッ」
額を床につけて咳き込んでいると、障子に影が映った。
こんなところにまで訪れる人間は、そう、いない。
「吉継、あけるぞ」
否。告げる前に開かれる。大谷は今度は喉を鳴らすだけで笑った。しようがない童だ。
「…みつなり…、いまは、」
見下ろしてくる白い月は、大谷の直ぐ傍へと腰を降ろした。
そして両手を握られる。
引こうとしても許されず、やれ強情なと小さく零した。
「みつなり、よごれる」
掠れた声で訴えるも、聞く様子も無い。膿が、体液が包帯に滲み、三成の手を汚す。
耐え切れぬと、大谷はかぶりを振った。
万が一にも三成の体にこの病の害が及べばと思うと、やはりそう思うしかなかった。耐え切れぬ。と。
握られた手から伝わる体温が、急速に自分から苛立ちも傷みも、不快なものを薄れさせていっているのはわかるけれど。
「汚れたりしない」
「…みつなり」
違うのだ、我が本当に言いたいことはそうではない。
三成はわかっているのに、言葉のままとして返す。
暫し見詰め合っていれば、どすどすと、遠慮のない足音が近付いてきた。
開けたままだった障子の隙間から現れた、梳いているのかもわからない黒髪は特徴的な癖がついている。
「なんだ、先客か」
無言で振り向いた三成は、これまた無言でそれを睨み上げた。
「そう睨んでくるな、小生は良いものを持ってきたぞ」
何か、小さな布の包みを持っている。
三成は追い出そうかどうするかを考えているのだろう、視線をめぐらせていたが、結局『良いもの』が大谷の為になるものか見極めてからでも遅くは無いという結論を出す。
「わざわざ来やったからには、相当のものなのであろ…?」
ヒッヒ。
揶揄に喉を引き攣らせた大谷の手を、握る手に力が入る。
「口を開ければわかる!」
「………」
濁った目が細められた。
それで、口を開くとでも思っているのか。何を放り込まれるかも分からないというのに。この男は本当に馬鹿だ。
「寄越せ」
かわりに三成が手を差し出す。
黒田はやれやれと息を吐きつつ、布の包みを解し、中から現れた小石ほどの欠片を白い掌へと乗せてやった。
「――吉継」
一瞬、ひどく驚いた表情を見せた三成を、珍しいと思う間もない、あっという間に口の中に何かを押し込まれてしまう。
「む、ぅ?」
つめたい。
氷だ。その小さな欠片だった。一体何処からこの男はこんなものを手に入れてきたのか。
そういえば、ぼさぼさの髪も、ナリも、どこか外から戻ってきたそのままのような姿をしている。
「どうだ、『良いもの』だったろう」
「…ヒヒッ、ぬしにしては悪くない」
ひんやりとした感触が、内側から狂った熱を引かせていく。
心配そうに見つめてくる三成にも、それを教えてやりたくて、自分を握っている手ごと
胸の位置まで上げた大谷は、がさがさと荒れた唇を、そっと、三成の手の甲へと押し当てた。
「吉継」
「ひゃっこいであろ?」
ふ、と冷たい息を吹きかけられて離れた大谷の目が悪戯に笑っていて、我知らず三成も表情を緩める。
小生まだ此処に居るんだけどー、と、黒田が小さく愚痴を零した。
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