いわゆる裏的な
Posted by 瑞肴 - 2010.03.07,Sun
またも空気読まずによくわからないSS。
更に戦う者たちの続きなんだかなんなんだか。
本家と俳パロ混合のふぁんたじーものです。
「”アカギ”くん」
「はい」
久しぶりに、意思ある目で見つめられ、”鷲巣”はうっとりと微笑んだ。
此処は戦場で、”アカギ”の四肢は呪で拘束され、アカギ達は遠くは無い場所で激しい戦闘を繰り広げているが、そんなことを忘れ去れるくらいに澄んだ”アカギ”の目と素直な返答に、喜びを抑え切れなかったのだ。
「君に架せられているものを取り去るからね」
「はい。…俺に何か出来ること、ありますか?」
よいしょと、”鷲巣”に体を引き寄せられる。
膝の上に頭を安置され、”アカギ”は、やや照れたように問いかけた。
意識を取り戻した代わりに動かない四肢のまま、”鷲巣”を見上げる。
「……あの方が君に掛けた呪は、耳の奥、三半規管の中に棲んでいる…」
下手に、弄れない場所。
流石にえげつない場所を選ぶものだと”鷲巣”は思う。無理に解除しようとすれば、呪は暴れ、”アカギ”の三半規管から脳にかけてを容赦なく破壊していくことだろう。さしもの”アカギ”も其処にダメージを受けてしまっては、元通りに治せるかというと難しい。
「…アカギ君、暴れてはいけないよ、意識を失ってもいけない。…手元を狂わせたくないし、君が意識を失ってしまうと呪は力を増して引き剥がせなくなってしまう」
ひんやりとした”鷲巣”の指が、”アカギ”の額を撫でた。
「はい。わかりました」
にこりと微笑む。
”鷲巣”の眉根が寄せられた。
”アカギ”は何でもないことのように応えているが、それがどれ程の苦痛をもたらすか、察せれていないわけがない。
それでも、”鷲巣”は、冷たい指先を”アカギ”のこめかみへと宛がった。
「ぁ…」
つぷつぷと、指が沈む。
違和感に”アカギ”が瞼を伏せた。
どれほど慎重に指を進めていようと、本来そこは触れるような場所ではない。
中で、”鷲巣”の指が軽く曲げられた。
「あ゛、…!」
指が何かに引っ掛かって、引っ張る。
それは物理的な動きではなかったけれど、”アカギ”にとっては直接、耳の奥、脳の傍を弄られている感覚と変わらなかった。
「~~~っ゛、…」
耳の奥、何かが根を張ろうとしている。
三半規管と脳を同時に嬲られて、”アカギ”は強烈な眩暈と吐き気と、痛みに襲われた。
声を殺そうと、食いしばった奥歯が音を立てる。呼吸は細く、生理的な涙を滲ませながら、”アカギ”は細めた両目で”鷲巣”を見上げていた。見ている限りは、意識を失わない自信があった。
「ぃ゛ぅ、っ… !!」
全身強張るも、”鷲巣”は手を止めなかった。ずるり、ずるりと、慎重に何かを引きずり出している。
「……”アカギ”君、」
「~~っが、ぁ゛、あ゛!!!」
”アカギ”の体が痙攣し大きく背が反らされ、動きを封じられているはずの両腕が上げられた。そして、”鷲巣”の体を強くかき抱く。
いたい、いたい、いたい、きもちわるい、いたい、いたい、あばれたい、いたい。
嘔吐感に口端から唾液を溢れさせながら、”鷲巣”の体に顔を埋める。
「良いよ、しがみ付いていて」
「…しず、さ、…っ、あ゛ッ、ぃ、っ…」
痛みに、力の制御を考慮できなくなった腕が抱き締める。みちみちと鈍い音がして、”鷲巣”の、細くはない骨に皹が入った。”鷲巣”は柔らかに微笑んで、空いている手で”アカギ”の頬を撫でる。
ずるりと、こめかみから指が抜けた。
「あ゛!! ……は、……」
深海に棲んでいそうな生物の形をしたそれは”鷲巣”の手の中でぬらぬらと蠢いていたのだが、笑みを浮かべたままの”鷲巣”にあっという間に握り潰された。
「…”アカギ”くん」
「………は、ぃ、…大丈夫ですか? ”鷲巣”さん」
「…大丈夫だよ。よく頑張ったね、少し休んでいなさい」
いつもと同じ、優しい声に気が緩んだ”アカギ”の瞼が、ゆっくりと伏せられる。慎重に”アカギ”の頭を地に下ろした”鷲巣”が立ち上がった。
「さて」
笑んだままに細められた”鷲巣”の赤い両目の瞳孔が縦に収縮し、その体はヒトの形を取るのを、止めた。
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