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いわゆる裏的な
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Posted by - 2025.04.13,Sun
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Posted by 瑞肴 - 2010.03.02,Tue



なにやら懐かしいことを言って頂いたのでー
あの男に関して書いたSSの中で、特に気に入っているお話を
ちょっとピックアップして載せてみます。
何年前でしょうなあ、これ書いたの。少しだけ加筆修正。


オリジナル。
今は道化を名乗る男の昔の話。













  

故意に移動スピードを調整しながら、彼は暗い裏路地を走っていた。
否、走るほどでもなく、ただ普通に歩くよりは早いだけのことで、そこには緊張感の欠片も見当たらない。
彼は、追われていた、先程からずっと。
しなやかな大型の獣のような肢体で闇を抜ける姿は、女性ならずとも見惚れるほどに均整が整っており人の目を引く。
しかし、追われているのはそういった理由からではない。
男…ESは、足を止めて降り返った。
「コレが欲しいか?」
じわりじわりと自分を囲む黒い影に、笑ってみせる。
人差し指が示すのは、月より澄んだ金の瞳。この世にたった一つだけの、ESがESで在る証。
無言で近付いてくる人垣へ、笑みに歪んだ唇が向けられた。
「…欲しいんだろ?」
くぐもった笑い声を響かせる。
「くれてやる。…抉り取ることが出来たらなぁッ!!」
言い捨てて闇に疾走した獣は、手近の一人の顔を正面から鷲掴み信じられない程の指の力で締め付ける。
潰れた悲鳴が上がったが、それは気にせず五指には更なる力が込められた。
「…ほら、どーした?」
片手で簡単に持ち上げられた体は痙攣するような動きを見せる。
金眼を細めて笑ったESは、そのまま一気に圧迫の力を強める。
鈍い、嫌な音がして持ち上げられていた頭は変形し、身体は大きくしなった後、完全にその動きを静止した。
物体と化したソレをその辺に放り捨て、獣は次の餌食を物色する。
「その小汚い『眼』で俺を見ようなんざ百年早い。だがしかし…」
風が吹いたように彼が移動した後には、両の手に小さな球体が幾つか。ポーズを取るように手の中を見せるESであったが、実際その彼の姿を見れた者は全体の半数ばかりでしかなかった。
手の中には眼球。
金ではない、様々な、血に塗れた眼球。
「もう『見れない』。くくくっ…ははははははは!!」
高らかに嘲笑した金眼の獣は、闇の中鮮やかに浮かび上がる肢体を再び疾走させた。
次にその動きが止まったとき、すべての部品を備え立っている者は存在しなかった。


ESは誰にも従属しない。
異端ゆえにそうなのか、そうであるから異端なのか、答えは無く。





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