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いわゆる裏的な
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Posted by - 2024.04.30,Tue
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Posted by 瑞肴 - 2010.03.14,Sun

これ書いたら(私にとって)楽しいものくれるってゆったから。
書いてみたです。

頭の凄く悪い俳優パロ。
いつも通り駄域がアレな感じです。















あからさまにしょんぼりしている。
それは勿論、仕事に入れば一瞬で意識を切り替えているようなのだが、珍しく静かな時間を過ごせている駄… 赤木は薄い紫煙を細く吐き出した。
平和なのは良いことだ。
いつもの、精神的苦痛(惚気)を味わわなくて済む。
椅子に座って、所在無げに携帯電話を弄っている鷲巣は、数日前にアカギと喧嘩をしたらしかった。別に知りたくもない情報だったが、息子が心配していたので赤木にまでそれが伝わってきただけ。
喧嘩の原因などは知らないが、どうせつまらないことだろう。つまらないことでない深刻な問題なら、鷲巣はとっとと解決しにかかるだろうから。
そういえば今日は鷲巣の誕生日だったような気がするが、そんな日になんの連絡もしないとは、(鷲巣にはともかく)アカギにとっては余程の喧嘩なのだろうか。
朝から携帯と睨めっこしている鷲巣が小さく息を吐いた。
「そろそろ再開ですよ」
しかし声を掛ければ鷲巣はすぐに顔を上げる。そこには、携帯の液晶画面を不安げに眺めていた陰りはまったく残されていない。
プライベートのあれやこれやはともかく、仕事の相手としての鷲巣は、赤木にとって尊敬に値して良い相手だった。
「では…」
はじめようか。
仕事の顔に切り替わった鷲巣の語尾を、羽音が遮る。
虫ではない。鳥のでもない。
ヘリコプター。
野外での撮影だったので、そういった雑音が唐突に現れるのは折り込み済み。
しかし下降してきたヘリコプターはあろうことか、撮影現場の真横に着陸しようとしていた。
「なっ…?」
強い風が吹き荒び、空気に視界を奪われる。流石に高齢の大先輩を庇わないわけにもいかず、赤木は風を塞ぐ位置へと鷲巣とヘリコプターの間にわりこんだ。
立ち尽くす鷲巣と赤木、そして他共演者とスタッフをおいてヘリは無事に地面に着陸する。
嫌な予感がした。
「鷲巣さん!!」
ああやっぱりね。そうだと思った。だってこの嫌な予感、いまだかつて外れたことがない。
ヘリから転げ落ちるように出てきたアカギは鷲巣へ駆け寄り(赤木は見事にスルーされた)、両腕を大きく広げて自分より小さな体を抱き締める。
「アカギ君…?」
「ずっと連絡もしなくてすみませんでした…。携帯も使えない離島ロケに拉致されてっ…」
天候の関係で中々終わらない収録に、ついにアカギがキレたのは今朝のこと。
『帰ります』
言い切ったアカギに慌てたのはマネージャーだ。帰るったって、撮影は予定していた分まで終わっていないし、船は1日1便くるだけで、そんな、簡単に帰れるわけもない。
諭した安岡マネージャーに、瞳孔の開ききったアカギの双眸が向けられた。
『今日が何の日か知らないんですか? どうして知らないんですか? 安岡さんはあの、昔でいう非国民なんですか?』
怖い。恐い。
二の句を告げられなくなった安岡の肩がアカギに掴まれる。
『今日は鷲巣さんの誕生日なんです。…だから帰ります』
どういう「だから」なのだろうか。ツッコミを入れられる強さは安岡には無い。
無線でヘリを呼んだアカギが島を離れたのは、なんだかんだで今日の夕方のことだった。 今は、日付の変わる数時間前。
島を離れたアカギは鷲巣のスケジュールを確認して、撮影現場に直行した。百万単位で金は飛んだが気にしない。
「…アカギ君…」
「日付が変わらなくて良かった…。鷲巣さん、お誕生日おめでとうございます」
戸惑っていた鷲巣の視線が、アカギから外される。
「わ…たしはまだ、君のことを許したわけではないんだよ」
包容から逃れようとする体を、より強く抱き締める。肩口に顔を埋めたアカギが小さく、ごめんなさいと囁いた。
「許してくれなくて良いんです、ただ、絶対に今日中に鷲巣さんに会いたかった。会って謝って、抱き締めてキスしたかった…俺の我が儘です」
「…っアカギ君」
鷲巣の腕が、アカギの背へとまわされる。





「音響ぉォおお!! 空気読まなくていいから! 流さなくていいから! なァ?!」
赤木のツッコミが、ムーディーな音楽の合間に響き渡った。
注釈しておくと、この音楽は実際に現在この現場に流れているものである。何故なら、空気読んだ音響さんが此処はこれ流しとかないとという配慮でもって流されている、ので。
固い抱擁の中、熱いベーゼをかわす2名に、血管キレそうになっている駄(目な神)域の横、小さくすすり泣く音がした。
「…わたしも彼と喧嘩中だったんですけど… 早く帰って仲直りしなくちゃいけませんね…」
「…………」
そんな、感動…する、とこ、か?
引き攣りながら、様子のおかしい周囲を見回すとそこかしこで目頭を押さえていたり鼻を啜っていたりする。
「………いやいやいや。待てまてまて。違うから、感動する所じゃねーぞ。やめて? 図に乗るから止めて? ほんとウザイんだぞアレ、傍でやられると」
パチ…パチ…。
次いで、拍手のさざ波が起こる。
CONGRATULATIONS…CONGRATULATIONS…

もうやだ帰りたい。何処にでもいいから帰りたい。

灰になりかけている赤木を置いて、中心地はイチャイチャしていた。
「誕生日プレゼント、予約はしてたんですけど取りに行く時間が無くて…。…本当にすいません、ちゃんとお祝い出来ずに…」
「ううん、そんなものは良いんだよ。君が今日此処に来てくれた、それが私にとって一番嬉しいことだから…」
再度
うちゅー。
帰ろう。半分くらい飛散しかけていた赤木は決意する。
帰りたいじゃない。帰ろう。うん、そうしよう。
どうせもう、この後は仕事にならないのは確定的に明らか。


よろよろと動き出した赤木を他所に、現場はまだ緩やかな感動に覆われていた。
げいのうじんってすごい、ふんいきってこわい。
何が正しいのかなんて分からないそんな世の中じゃしょうがないよねと、薄い三日月が笑っているようなそんな、夜。

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