いわゆる裏的な
Posted by 瑞肴 - 2010.07.12,Mon
ちょっと怪我してます むこうぶち
日蔭×江崎SS
日蔭×江崎SS
両手の指に4本。
片手に2本ずつ。
指先に縦に貼られた絆創膏。
ちょっと怪我をと苦笑していたので、一応、そこには触れないようにした。何処にせよ先端の怪我というのは傷むし癒え難い。
珍しく、江崎は深く眠っているようだった。
長い手足がベッドに投げ出され、伏せたままの瞼は大人しいもので。
ふと、枕に埋もれた指先を見れば絆創膏は剥がれかかっていた。
指でも詰めたのだろうか。江崎は麻雀を打つくせをして指や手の怪我にまったく頓着しない。おかしな奴だと、思う。
おかしいのは、顔を殴るときも腹を蹴るときも、それなのに手には怪我をさせないようにという意識の働く日蔭の方かもしれないのだが、本人はそれには気付きはしない。
絆創膏を、捲る。
「……な」
マニキュアかと、一瞬見誤る。
しかしその色はそうではなかった。
割れていない爪の真ん中に縦に、赤黒い線。
紫色に腫れた指先。
針、もしくはそれに準じた鋭利なものを、爪と肉の間に刺し込まれたのだと、とにかく他人には無関心の日蔭にも察せられた。
「江崎っ」
「……~はぃ…?」
「なんだこの指は…!」
こんな指では牌が握れない。
…そうではなく。
日蔭の思考を混乱が蝕む。
「…ああ…? はい、ですから、ちょっと怪我をしてしまいまして」
欠伸を噛み殺したのだろう、ふにゃらけた音声が枕の上から零される。
「させられた怪我だろう、これは」
「…そうとも言いますねえ、そうでした」
ふふ、ふ。
流石日蔭サン、的確な指摘です。
笑う江崎はまだ眠そうだった。
「変わった玩具が流れてきたので、お試しにということでして」
くぁふ。
今度こそ、欠伸が漏らされる。
長い指は美しいが、どこか骨張った手を取ると全体的に熱っぽい。
「化膿はしないと思いますが… …日蔭サン?」
眠たげだった目が、細いなりに見開かれた。
強く手を握られてしまい、流石に傷に響く。しかし驚いたのはそれよりも、指の付け根に唇を押し当てられたから。
「……ぇえ、と」
宥めるようにでなければ、加虐のためでもなさそうで、反応に困る。
そのまま、固まっている日蔭が動かないので、江崎は軽くその背を掌で撫でてやった。
「一寸気持ち悪かったですかね、すみません。一月もすれば治りますから」
「……違う」
眉を顰める日蔭だが、二の句は無い。
違うとは言ったものの、何が違うのか、わからない。
「違うだろう、そうじゃない」
「…?」
わからない。
苛立つ日蔭の背を、2本だけ赤いマニキュアに彩られた手が何度も撫でた。
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一条さんが地下送りになってから、遊び道具として流出したんじゃないかな。
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