噛めば噛むほど

とあるメールを頂いたとき、頭に浮かんだ言葉がおにーさんのコレだったという。

オリジナルSSSでごんす。

「おにーサン、ドライフルーツとか好き？　貰い物があってネ」
「んー？」

その辺に転がっていた瓶を使って勝手に前衛的な生け花を創作していた青年は、声をかけられて視線を花から声の主へと、移す。

好きなら出すヨー、とか、続けた相手をまじまじと、眺め。

「ああ、ウン、好きかな、乾き物」
「…ネエ、なんでオレ見て言うノ？」
「いや、好きだぜ乾いてても」
「オレを凝視しながら言うの禁止！！　なんかヤダ！！」

乾きっぷりを主張するの止めてくんない？！

憤慨する爺にも、青年は赤い実をつけた細い枝を弄繰り回しながら人が悪く笑うだけで。
分かりづらいけれど多分イチャついてる人たちは、静かな冬の夜も騒がしいのであった。