いわゆる裏的な
Posted by 瑞肴 - 2010.08.24,Tue
むこうぶちで俳優パロディ。
「むこうぶち」のキャラクターが皆俳優、という設定です。
「むこうぶち」のキャラクターが皆俳優、という設定です。
「カタマリのお肉、すごく久しぶりです…。嬉しいですねえ日蔭さん」
「…ああ、やっとカレー臭から離れられるかと思うと、それは嬉しいな」
合計、10日はカレーだった。
正確には、カレー→ハヤシライス→クリームシチュー→カレー→肉じゃが (それぞれが数日間続き、次へと続く)。
2度目のカレーのターンを迎えたあたりで『もう汁物は嫌だぁあああ!!!』とブチ切れた日蔭の叫びが拾われて、メニューの最後は肉じゃが(肉は鳥)になった。
後堂は澄ました顔で、汁は無いでしょうと言い放ち、日蔭は黙って箸を取ったという経緯付き。
華僑プロダクション(芸能事務所)はとても貧乏だった。
みんな貧乏なので、切羽詰ってくると、自宅が事務所に近い後堂が食事を作って事務所に運んでくる。スイカくらい軽く煮込めそうな、デカイ寸胴鍋で。
この事務所には、稼ぎ頭になれるような人材がない。ある程度稼げる人材が、だからせっせと日銭を稼ぐ。例えば江崎がその良い例だ。
「後堂、後堂、サラダバーも頼んで良いんですか?」
「ええ、構いませんよ、貴方のお祝いですからね」
このたび、江崎のグラビアが発売されることになり(サイズはA6という、非常に微妙なサイズではあったが)、前払いを少しだけ頂いたお祝いに、事務所の皆でお食事に出た、というわけ。
「後堂優しい…。ねえ日蔭さん? 日蔭さんも頼みませんか?」
「…いや、俺は…」
気付け江崎、優しいも何もソレの支払いはお前のグラビアの前払い金だ。つまりお前の金だ。
日蔭はぬるやかに視線を反らした。
口に出したいが、後ろで敏腕経理(本業・俳優)が目とデコを光らせている。下手なことを言えば後で何があるか判らない。
まあ、他の事務所の面子も久しぶりの肉に盛り上がっている。
水は差すまいと、日蔭は黙った。本人(江崎)が気にしていないのだから、いいのだ、多分。
「んーv」
なんやかんやで更に山盛りプチトマトのみを盛り付けてきた江崎が幸せそうに口を動かす。否、プチトマトだけではなかった。半分プチトマトで半分ヤングコーン。
どうかと思う。
「日蔭さん」
「なんだ?」
「店員さんが見てないうちに、どうぞ」
フォークに突き刺されたプチトマトとヤングコーンを眼前に持ってこられて、ちょっと引く。
数秒躊躇してからしかし、その生野菜に食いついた。
「美味しいですよね、トマト好きなんです、私」
「…あ、ああ…」
もっもっも。
「ほら後堂も、美味しいですよー」
「顔面にフォークごと突き出すのは止めて下さい」
もっ・・もっ・・。
『日蔭さん、おひさしぶりです、…大変でしたね』
『よろしければウチに来られませんか? ウチの事務所、来る者拒まずなんですヨ』
あの日、掛けられた声、差し伸べられた腕。
日蔭は鮮明に覚えている。
(ついでに、本当に日蔭を事務所に引っ張りこんだ江崎が、後堂に開口一番「犬のくせに犬を拾ってくるとはどういう了見ですか!」と叱責されたのも鮮明に覚えている)(誰が犬だ誰が)
「…江崎」
「はい」
「…トマトばかり取ってくるな。店の迷惑だろう。胡瓜だとかレタスも食え」
「ええー、沢山あったんですもん…」
2杯目のトマト盛りを見過ごせなかったので注意すると、ぶーたれながらも江崎は小さく頷いた。
「あ、後堂、お酒のんでいいですか」
「駄目です、貴方ザルじゃありませんか、店で飲むなんてとんでもない」
もう一体誰の祝いなのか分からない宴席は、こんな感じで和やかに続く。
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俳優江崎さんは、ほにゃーんとしてて結構色々いい加減。
総攻めジゴロも面白いかなと思ったけど、こっちで。
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