いわゆる裏的な
Posted by 瑞肴 - 2009.09.25,Fri
中途半端なヘタ○アSS
英→西
+仏
薄暗いかも
「ほんまウザイわー、なんなん? 消えろ」
言葉のナイフ。
否、言葉の出刃包丁。
「アイツがなんなんだよ!! 俺はただアルにいらねーちょっかい(膝カックン)掛けるなっつっただけだぞ?!」
フランシス、ぬるーく笑う。
旧友は、誰に対しても(今は)敵意を滅多に向けない。まさしく太陽のようなマイペースさで、トマトの甘さで、へらへらと笑っていることが多い。
例外がこの、元ヤン紳士。
「あんの鈍感ペド野郎…」
ポコポコと怒っているのを、まあまあと収めながら、ふと気付くことが。
「アントーニョのことそう言ったの? さっき」
遠くから眺めていただけなので聞こえなかったが、会議終了後、アーサーが何事か口にして呼び止めたところで振り向いたアントーニョは既に「親分」でなく「黒分」になっていた。フランシスには分かる。
「あ? …あぁ… …んだよ…」
あまり褒められた呼びかけでないことはアーサーにも自覚はある。
それでもつい言葉が口を出たのは、大切な元弟にアントーニョがいらぬちょっかいをかけ続けているのを知ったから。
歯切れの悪さからそのどちらもを察したフランシスだが、流石にやれやれと息を零した。
いつ頃からかは定かでないが、雨の国の彼は太陽の国の男を憎からず想っているようだった。
何度か彼なりのアタックはかけた様子だが、毎度撃沈しているのを、自由と愛の国のおにーさんは知っている。で、毎度のスルーっぷりに、愚痴のように、鈍感だの不感症だのと、酒が入ると零しているのも知っている。何せ都度、悪い酒に巻き込まれるので。
「言ったんだ…」
「うぐ…」
元ヤン紳士、何かとトマト親分の前では昔の気質が出がちであった。
本性から何から知られている相手に紳士の面の皮被り続けてもしょーがないというのは、ある。
「あのね」
『フランシスー、俺疲れた顔しとる? ロヴィが心配しよるんよ』
『あー…隈結構酷いよ? ってゆーか、オマエこれ… 傷だらけじゃん』
アントーニョは神経質とは間逆の位置で生きている。
項から覗く縄の後に、腕に走る裂傷の瘡蓋、傷だらけの体と疲労の浮かぶ顔を、ちゃんと隠しきれるわけがない。
ストレートにそう伝えれば、アントーニョは困ったように頭をかいた。
『せやんなぁ、俺隠すの下手やさかい、どないしよかな』
傷の原因は知っている。知ってはいてもフランシスにはどうすることも出来ない。
『おにーさんの栄養満点のご飯でも食べて、精つけていきな』
それくらいしか。
『ほんま!? フランシスの料理久しぶり~♪』
何度もなんども、英国の海賊に襲われて陵辱され尽したとは思えない明るい笑顔に、フランシスは苦笑を滲ませた。
ただ、どうしても、その顔に滲んだ疲弊は覆えてはいなかったから。
ロヴィ、ロヴィーノ、俺の大事なロヴィーノ。
泣かんとって。
笑っとって、ロヴィ。
…親分、そんな痛そうか?
平気やで~、親分強いさかいなぁ、これっぽっち全然痛くも痒くもないねんで~。
ロヴィ…、な?
思えば、鈍感なアントーニョが更に掬いようも無いくらい鈍感になったのはあれからだった。
触っても擦っても、まったく気にかけずにいるのでセクハラのし甲斐がない。
「アントーニョは」
雨の国の紳士はまた泣くだろうか?
おまえんちの海賊に襲われた、疲れた顔を子分にどうしても見せたくなかったから、だから自分を馬鹿みたいに鈍感にしたんだよと。どんな痛みを負っても傷を負っても、表面は元気そうに見せられるように。
言えば泣くだろうか。あの霧雨のようにずっと。
「…あれで聡いトコもあるのよ」
「はぁっ?!」
言えるか。
フランシスはフランシスなりに、この元弟を可愛いと、思っている。
はぐらかされたように感じたアーサーの機嫌は一気に急降下したが、気にしない。
「意味がわからねえ!」
「坊やだからでしょ」
ぶちーんと音が聞こえて一発鉄拳をくらったフランシスは、テーブルに突っ伏して死んだフリをすることにした。
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