そこに希望はあるのでしょうか?

むこうぶちSS。多分ギャグ。
華僑組。

「時代はえざうしですよ！　後堂！」
「………………」

ああ。
馬鹿ではないのだ。むしろオツムのレベルは高い筈なのだ。
なのに残念な上司を見つめ、後堂はキーボードを叩く手を止めた。

「どうでしょう、む×うぶちの認知度を上げる為にも、まず我々が努力しようじゃありませんか」

そのチュッパチャップスを口から引っこ抜いてやりたい。
しかしてそういえば、糖分摂取どうですかと先程自分も１つ与えられて咥えている状態だった。コーラ味のそれを一旦口から離し、茶を一口啜る。

「仕事をして下さい、江崎」

一番切り込みたいところに深く刃を入れる。
江崎は、残念そうに眉を寄せた。

「優しくしますよ？」
「誰もそこに論点など置いていません」

月末の、書類処理。
いつまでもどこまでも続く白い紙の束に飽きたのだろう。
溜息をついて腰を上げる。甘いものでも与えて、気を逸らせようという魂胆で。

「…！　うしえざが良かったンですか…？！」
「その『今まで気付かなくてスミマセンでした』という顔を止めなさい。暇なんですか？　暇なんですね？　ではこれも貴方が処理してください」

台所のコンロへ向かいがてら、江崎の机にどさりと白い束を置く。
流石に渋い顔をされるが、見ないふりをする。

「後堂」
「なんですか」

鍋に浄水器から出てくる水を注ぎ、火にかける。

「終わったらビアホールに行きませんか」

チュッパチャップスは齧りつくしたらしい。白い棒をゴミ箱へ華麗に投げ捨てた江崎がニヤリと笑う（元々笑い顔だが）。

「…良いですね」

最初から、そうコンタクトしてくれば良いものを。

それなら眠気覚ましにコーヒーでもいれるかと、台所に立った後堂はドリップ式のパックに指をかけた。




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世界観なにそれおいしいの。