いわゆる裏的な
Posted by 瑞肴 - 2010.06.28,Mon
何処に載せたもんかなあと迷ったので、迷ったときは此処で。
ハハキリさんちで拝見した短文を、弄らせていただいてよかですかと窺ったところ おkと優しいお言葉いただけたので、つまりそれを載せます。
許可ありがとうございましたー、とこちらでも御礼申し上げるのです><
雨降り雨宿り、アカ鷲。
ハハキリさんちで拝見した短文を、弄らせていただいてよかですかと窺ったところ おkと優しいお言葉いただけたので、つまりそれを載せます。
許可ありがとうございましたー、とこちらでも御礼申し上げるのです><
雨降り雨宿り、アカ鷲。
水滴の冷たさよりは、音に押し潰されるような感覚に陥った。
ビルの軒下に駆け込んだものの、家屋の軒下ほどにはスペースが無い。じわじわと雨に追い詰められるよりはと、偶々(本当に偶々)あった連れ込み宿に鷲巣を引っ張り込んだ。
「…………」
不審の目。
仕方ない自覚は流石に存在する。
「何もしねぇ」
ただ、これ以上濡れさせるのは嫌だから。
部屋のドアを開けて、先に鷲巣を入室させ、洗面所から引っ張り出したタオルで顔を拭ってから視線を合わせる。
その誓約を鷲巣が信用したかどうかは置いておいて、ずぶ濡れで不機嫌な昭和の帝王は、ぞんざいに鼻を鳴らしてから『風呂を使う』と言い捨てた。
一緒に入りたかったけれど、備え付けの風呂は一人用だ。鷲巣の邸とは勝手が違う。無理をすれば二人で入れる広さでも、ゆっくりとは体を温められまい。
こちらもずぶ濡れのアカギは素直に風呂を明け渡した。
シャワーの音がする。
雨とは違う音。
アカギは雨の音は嫌いではない、のに、今はシャワーの音が気になって仕方が無い。
水音が遮られるのは鷲巣の体に湯があたって流れ落ちているからだろう。
見たい、そうして湯の中でゆっくりと、撫でてやりたい。
燻ぶりかけた思考を遮断するため、タオルを頭から被ったアカギは全身の水気を拭き取ることに専念した。
シャツと、下着一丁。
他は随分と水気を含んでしまったから仕方がない。胸ポケットの煙草も濡れて、することもなく時間をもてあますアカギは布団に足を投げ出して、壁に凭れて目を伏せた。
どれくらい時間が経ったのか
「寝とるのか」
「……いや」
声に瞼を持ち上げて驚いた。
風呂から上がった鷲巣はバスタオル一枚を腰に巻き、一枚を頭から被っただけの状態で現れたから。
何がどうして。
考えが歯車になって動く前に、体が動いた。
近付いて、両腕で抱き締める。
薄っすらと血色の良くなった肌、柔らかい肌。そして石鹸と、鷲巣の匂い。
もっと実感したくて肩口に鼻先を埋めれば、くすぐったさに僅か身を捩った鷲巣が短い髪を引っ張って抵抗する。仕方なし、アカギは顔を上げた。
「冷たいじゃろ、馬鹿」
何か、見透かされた気分で思わず苦笑が零れた。
だって、アンタそんなに無防備にしてるから。
心の中の反論は声には出さなかった。
『何もしない』と言ったのを、今は反故にする気はないし、朝からあちこち引きずり回して付き合わせた上で、この雨。どうかといえばアカギに分が悪い。
「浴衣か何かなかったのか?」
また冷えてしまうのはよくない。いくら、部屋に空調が効いているとはいえ。
普通の人間らしい気遣いは対鷲巣巌にのみ発動する。
が、鷲巣は猫目をほんのりと細めて、笑った。
「いらん」
「……」
くふ、と、小さく笑い声まで漏れる。
こちらの忍耐を試す意趣返し、か。
突っ立ったままとなったアカギを放って布団に座り込んだ鷲巣は、まったく酷い雨じゃのと独り言のように呟いて、窓の横の壁に凭れ掛かるとアカギを見上げる。
アカギの喉が小さく上下に動かされた。
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