Pax Britannica 0

ややや、前回の記事に拍手ありがとうございます。
海賊は良いものですねえー。口汚い鷲巣様も良いものです。

今回は、何故にアカギが船長などという
似合わない肩書きかという解説SS

　　


「――あらら」

そんなつもりは、なかったのに。

ああ、耳障りな、煩い、うるさい。
歓喜、狂喜、雑音ばかり。

「船長！！」
「船長！」
「船長！！！」
「新しい」
「船長だ！！」

ああ、そんなつもりは、まったく――。

血塗れた大剣を下ろし、月を見上げたアカギは薄い溜息を吐いた。

こんな船が欲しかったわけではない、船長の座が欲しかったわけではない、頂点に立ちたかったわけではない。ただ。

飢(かつ)えを、どうしようもない飢えを埋めたかっただけなのに、己を雇った元船長は足元で
亡骸として残骸となり尽くし、己はこうして元船長の血を浴びて立っている。

「船長！」
「船長っ」
「船長ぉ！！」

祀り上げるな。

そんなものに興味はない。そんなものに成りたいのではない。
なら、一体、何に、自分は興味がもてるのか、成りたいのか。

ポケットから煙草を取り出す。辛うじて血に濡れていないのは、己の運故か。
加えた煙草に火をつけて、ゆっくりと吸って吐き出した。

明日のことは、明日考えよう。

何故だか
近いうちに
楽しいことがある、予感がする。
だから血が騒いで、こんなことになってしまった。

「………ああ」

早く、早く、この飢えを埋めるものを。

「早く」

何を急かしているのか己自身わからぬままに、アカギは小さく呟いた。




















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吹っ掛けられた勝負をつい受けちゃったらこうなった。
暫く後、商船と遭遇。