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いわゆる裏的な
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Posted by - 2024.04.30,Tue
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Posted by 瑞肴 - 2010.04.18,Sun
これの続き。












少し、面倒な手順があるのだとアカギが言った。
仕事は既に引退しているし、商売は一応しているものの趣味のようなもので、時間は有り余っている。鷲巣はあっさりとアカギの提案を承諾した。
曰く、妻を娶ったら上司に紹介をしなければならない、ということで。
そういう、海賊の1つの派閥での古くからの掟らしい。
陸に着いて、会議があるからその時に皆に紹介しますねと、でも出来れば顔は隠しておきたいなと、アカギは色々くるくると考えている。
「お披露目みたいなものですから、…ウエディングドレスでも良いかなと思うんですけど…」
「うーん、そういうのは挙式のとき限定ではないかな?」
「あっ、そうか。何回も着るものじゃないですもんね」
そういえばそうだ。どうしようどうしよう。
部屋の中を歩き回って考えるアカギは可愛らしい。
まあ、別に
ウエディングドレスだろうがビスチェだろうが、アカギの好きなものを選べば良いと、紅茶を飲みながら鷲巣はのんびりと構えていた。妻は良人に従うものなの、で。
数時間後。
結局、礼服に決まったらしい。
オーダーで特別に衣装を仕上げるには時間が無く、アカギにしては仕方なしの選択だったようだ。
「今日は船長同士の会議なんです。お披露目したらその後暫くは会議に出なくちゃいけないから…夜まで会えませんね」
「お仕事だものね。頑張ってねアカギ君」
「はい…v」
いーじゃんたかだか数時間じゃん。
同行していた部下、思いはするが、いわない、いえない。触らぬ神に祟り無し。
ガチャリと扉を開いて、2人は海賊の「おやぶん」の出揃った会議室へと入っていった。

「久しぶりだな、アカギ」
「ご無沙汰してます、平井さん」
「嫁連れて来たんやて? 餓鬼んちょがそんな歳になったか…」
「あ、お久しぶりです、原田さん。…俺の大事なお嫁さんだから、本当は見せたくなかったんですけど」
「早速色ボケか。ったくガキが色気づい…

言い掛けた、赤木(中年)の視線がアカギの背後の人物に届き、固まった。

「…あぁ、やっぱり君たちの一派だったんだね、アカギ君は」

ふふー、とにこやかに微笑む鷲巣の顔に、ほぼ全員の目が釘付け。
「白ッ…」
「白蛇っ…?」
アカギだけが、こくりと首を僅かに傾げた。
「…お知り合いなんですか?」
こめかみに指をあてた平井銀二が、視線を逸らし窓の外の青い空を見遣りながら息を吐く。
「知り合いも何も…。…お前の後ろに立っているのは元海軍大将だ。俺たちが若い頃には随分世話になったもんでな…」
「!! 鷲巣さん、海軍の将校だったんですか?!」
「うん。…言っておいた方が良かったかな? 驚かせて御免ね」
「そんな…。道理で可愛くて艶っぽいのに凛々しいし格好良いわけですね… 納得しました」
「アカギ君、そこまで言われると恥かしいよ…?」
ああ、駄目だ。
先に席に着いていた面子が溜息を吐いた。
先程口走った『白蛇』は、現役時代の鷲巣の字(あざな)だ。鷲巣家の家紋が白い鷲だったのが、理由の発端。艦にあげられた旗が白い鷲だったことと、本人の白髪、それと、まるで蛇の如き狡猾さで海賊を追い詰める様が、鷲巣を「白鷲」ではなく「白蛇」と呼ばしめた。
と、いうのは表向きの理由で。
間近で敵対した海賊が、ことごとく鷲巣に絡め取られてオチていく、というのが裏の理由。自主的に投降するのはまだ良い方で、酷ければ艦丸ごと海軍に寝返って鷲巣の下についてしまう。鷲巣がまた、そういった海賊を法によって正式に処断するのではなく、どういう手段を使うのか己の私兵として所持してしまう。
「駄目だ」
ドニッ。
そんな効果音を背負って、赤木が目を細めて言い放つ。
「っつうか、駄目に決まってるだろうが。元とはいえ、こいつは海軍大将だ。『身内』にするなんざ、示しがつかねえ」
「そんな… 『妻』に条件なんてなかっただろ…!」
ほんのりとした微笑で見守っている鷲巣に居心地の悪さを感じながら、銀二も次いで口を開いた。
「アカギ、何の為に 『妻を娶ったら披露目るべし』 なんて掟があると思ってる。 『審査』 する為だ。条件は、審査をする俺たちがつけるもの…」
「だって」
反論しようとしたアカギと、中年´sの間に、鷲巣が入ってくる。
「2人の言う通りだよ、アカギ君。私は 『審査して貰って、彼らに認められなければ』 いけない。そういう掟だもの。…ね?」
「…っ、はい…」
直ぐに気付いたのは、銀王だった。
「いえ、我々は貴方を――…」
「条件は…、君たちがつけるもの。 『正式に』 アカギ君の妻になるなら、私はちゃんと審査を受けなければならない立場…。 ね? 銀二君? どうしたら 『私は認めて貰える』 のかな」
言葉尻を捉えられ、ほんの一瞬銀二の目が細められた。
掟の存在を全面的に受容するかわりに、<認められない条件>ではなく<認められる条件>を提示して寄越せと、鷲巣は言っている。
馬鹿正直に掟に従う為に此処までやってきて審査を受ける、その代わりに。
別に審査など受けなくても、構わない、好きにすることも出来るのだと微笑んで。
「…流石、お変わりないようですね」
「そうかな? 随分老け込んでしまったけれどね」
ククク。
ふふふ。

うふふふふははははは。

微妙に低い(怖い)和やかな笑い声が、一先ず会議室の空気を覆った。



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