いわゆる裏的な
Posted by 瑞肴 - 2009.12.13,Sun
無闇と続くSS
パタパタと、”鷲巣”の顔に赤が散る。
「…っあ…」
”鷲巣”に覆い被さる形で、巨大な魔獣は剣の刃を受けていた。
「駄目っ…!」
”鷲巣”の両手から発された光が、黒い刃を消し去るが、傷はまだ塞がらずに血を流している。魔獣は低く唸り、”鷲巣”は眉を顰めてそれを見上げた。
『「闇の審判」』
治癒術を発動させる前に、アカギは攻撃を続けた。
水中を侵食する墨のように、中空に闇が増殖し”鷲巣”と魔物たちを飲み込みながら侵していく。
間を置かない術の発動は、自身のみを媒体とするアカギ自身の肉体に負荷を掛けた。毛細血管が切れて充血しきった両の目、内側から膨れ上がる力に口端からは吐血の赤が流れる。
慌てて、平山が回復アイテムを使用するが、それで傷は回復できても肉体に掛かった負荷がゼロに戻るわけではない。
アカギの足元が僅かにブレる。
闇の中が薄ぼんやりと光った。
魔法防御用のヴェールを張ったことが窺えた。
「…やっぱりな」
アカギの呟きを、カイジが拾う。
「本当は、あんまり攻撃されたくなかった…てことか」
「『物理攻撃で自分だけ狙わせたい』。 突然使い出した治癒も、さっきの演説も、その為のブラフ…。グループの中で自分だけ治癒を使えば、集中的に狙われるのは自明の利。大技を使えばコピーすると伝えたのは、大技を使うことを躊躇させる為…つまり、大技を使われたくない…何故か…?」
徐々に闇が晴れていく。
傷を受けた魔物二体を庇うような位置に”鷲巣”は真っ直ぐに立っていた。
「答えは…アンタはその魔物を傷付けたくない。…だろ?」
「……」
ふるふると、”鷲巣”が首を振る。
潤んだ猫目がアカギを見上げた。
「そこまで判っているなら、お願いだよ、この子たちを傷つけないで…」
搾り出された声音に、アカギ以外の2人が胸を締め付けられた。
「…お願い…、なんでもするから…この子たちにこれ以上攻撃しないで欲しい…。私の大切な息子と恋人なの…」
君達に襲い掛かったのも理由がある、と、”鷲巣”は続けた。
「君たちと戦いたがらなかった私たちを引っ張り出す為に、あの方はこの子らの意識を奪ってしまった…。…君たちを倒せたら、この子らを元に戻して貰う約束なんだ」
「…私”たち”…?」
小さな単語に引っ掛かったのとほぼ同時、
全員の足元を大きな影が覆った。
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