いわゆる裏的な
Posted by 瑞肴 - 2009.10.23,Fri
短編アカ鷲。
王は王であるからこその存在意義をもつ。
鷲巣は興味もなさそうに、その薄っぺらい書類を机の上に置いた。A4の大きさのたった1枚の紙。赤木しげるに関する調査の結果は、この一枚に収まる程度のことしか判明しなかった。
低頭する部下を特に叱責するでもなかった鷲巣には、その理由がわかっていたのだ。
調べられないものだからこそ、アカギはアカギで在る。
「…玩具工場か」
気のない様子で零す。
鷲巣の様子に気づいたアカギが顔を上げた。
「 ? 」
そうして、数秒。
「ああ…」
それが自分の前の働き口だと、アカギはようやっと気付いたようだ。
アカギにとって其れは重要なことであったが故に心からどうでも良いことだった。
「それがどうかしたのか?」
「下らん」
一言のもと、老王は切り捨てる。
鷲巣はずっと若いころ、いっそ幼いころから、己の立場をよく理解していた。
アカギの迷いは鷲巣にとっては至極下らない眩暈程度のものでしかない。
「…それが要ると思ったんだ」
珍しくアカギが苦笑した。
自分以外の者たちは皆、それを持っていたから、それは要るものなのだろうと思ったのだ。
鼻を鳴らされる。
「そんなものは必要ない。もう理解できておるだろうがな」
アカギはおとなしく頷いた。
亀裂のような笑みが乗る。
親が子にそうするように、というには、2人ともが随分とそんな雰囲気からはかけ離れていたが。
「それで良い」
異端は異質であることを誇りこそすれ、迷いなど抱かなくて良い。
誰とも交わらなくて良い。誰とも重ならなくて良い。誰からも理解されなくて良い。誰も理解しなくて良い。
傲慢に孤高に狂気を否定せず、幾多の屍の上に君臨すれば良い。
「…もう知ってる」
アカギも笑った。薄っすらと。
誰もこの高みに近付くな。
老いた王と、これから其れを喰い尽して王となる者だけが居る、場所。
それを手に入れたから。
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