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いわゆる裏的な
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Posted by - 2024.11.02,Sat
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Posted by 瑞肴 - 2008.09.24,Wed



黒い右腕くんは素敵だ!!

そんな話。









邸の中をうろついていたら、開けたことがない扉が気に掛かった。
アカギは、ふとその扉の前で歩を止める。
厨房の近くにあるその部屋、扉。本当に、何気なく、ドアノブに手をかけた。

「…おや」
「……」

中は、鷲巣の執務室を7割ほど簡素にしたような造りをしていた。
部屋の中央付近にある机、椅子。書類の束を幾つかのさばらせ、白と黒半々のグレーの髪をぴたりと撫で付けた中年男性がアカギを見上げている。

「…赤木しげるさん…ですね」

頷くアカギに、人当たりの良い笑みを浮かべる。
鷲巣の周囲を護る白服たちと同じ服装ではあるものの、サングラスは掛けていない。
そもそも、アカギは彼を見たことがない。あまり人を覚えるのは得意ではないが、この男性、は。

「どうされました?」

仕事の邪魔をされただろうに、まったく気にした素振りなくそう聞いてくる。

「…此処は何の部屋かと思った」
「ああ。此処は私の仕事部屋ですよ。…あ、申し送れました、私、   と申します。この邸の執事のようなお役目を頂いております」
「へえ」

にこやかな。
笑顔は本心なのだろう、だというのに、アカギの背筋に這う冷たいものは、何か。
それは鷲巣の狂気と少し、似てはいたが、違う。アカギには判る。

狂気ではなく凶気。

見境無い刃。

「…アンタ、鷲巣の所で長いのか?」
「はい。鷲巣様が共生を立ち上げられた時からお仕えしております」

今までずっと。

「あ!! すいません、お茶も出さずに… 少々お待ち下さいね…!」

あたふたと動き出した執事に、アカギは軽く首を横に振る。

「いらねぇ」
「そうですか…?」
「鷲巣の所で飲む」

成る程、と納得して頷いた執事は、もう用は無いと背を向けたアカギに声を掛けた。

「赤木さん」
「…」
「貴方のような方で良かったです」
「……クク。そりゃどうも」

それは凶気。執事が持ち、アカギも持つモノ。
鷲巣に立ち入り、鷲巣を侵すものを赦さない。

どのような手段を使っても、それが例えどんな相手だったとしても。
排除し、削除する。

いままで鷲巣の邸に、内通者など、ひとりも出なかった理由。


「アンタみたいのが、鷲巣の傍に居て良かったよ」


同じ種類の笑みを浮かべ、アカギは通路に出て扉を閉めた。








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