変態注意。
またしても女帝ネタ。いや、これ別に帝王鷲巣様でやっても違和感あまりないのですが。
あと白服がかわいそう。
白服のうちに10人に1~2人はこういう事になってると思。
それでも女帝にお仕えしてるんだぜ。
子供のように、か細く泣きじゃくる白服を、女帝は珍しく、ただ深い慈しみをもって頭を撫でてやっている。
数人、同じ白服に身を包んだ従者がそれを見守っているが、表面上はまったく心を揺らす素振りはない。
「…っう、ぇ、っえ、…申し訳… …ありませ…っ」
安楽椅子に掛ける女帝の、膝に縋りつく頭を、細い指が何度も撫でた。
「…自分は、もう、…どうすれば…」
脈絡の無い言葉は、女帝が最も嫌うものの一つであった。
だが、まだ女帝の機嫌は崩れない。目を細め、口端を僅かばかり吊り上げて、今にも鼻歌でも歌いだしそうな様子。
「……クク、…仕様が無いものじゃな、男というものは…」
「………っく、ふ、ぅ」
「…苦しいか?」
黒いヒール、爪先が、縋る白服の股間を軽く蹴り上げた。
唯それだけのことに、過剰なまでに体を強張らせる。
「は、い…、はい、…申し訳あり、ませ……っ」
慙愧ばかりではない。
呼吸は荒く、頬は紅潮していた。
サングラスで見え辛いが、目は潤み、恍惚の態を浮かべているだろう。
「…私(わたくし)に欲情したくないか? それでも」
「……は、い」
それはもう既に、狂信者の。
「くふ、…くふふっ…、よい、よい、そのような忠義も嫌いではない…」
「……鷲巣様」
「…良い案を授けてやろう…」
猫の目を細めて笑い、女帝は密やかに、囁く。甘く深く、冷たく。爪先に軽く力を込めて。
「切り落とせ」
「……!」
「…ふふっ、くふ、くふ、くふ… …どうじゃ、良い案じゃろうが」
児戯に喜ぶ童のように、女帝が笑う。
肩を震わせ、耳朶に下げた紅玉と銀の装飾具をしゃりしゃりと揺らし。
見上げる縋りついた白服が、素直に恍惚と、頷くなどと。
ありえない、とは、この場の誰も思わなかった。
「くくく、物分りの良いことじゃの、……ああ、まだ泣くか、もう泣かずとも済むというのに…」
柔らかく、指が涙を拭う。
上機嫌のままの女帝は、まだ暫くの時間、己が膝を塩水で濡らすことを許してみせた。
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