すげーMADを見てしまった…あとで表のブログに詳しく書きますが…
なんだ・・なんなんだ・・この鷲巣フィーバー・・
そして感銘を受けて書いたのがこれっておまえ、それはおかしいだろう瑞肴よ…。
パロロワの続きだったりする。
廃墟の中。
休むなら建物の中の方が良いだろうと入ったのは良いものの、廃墟であるからして電気も通っているわけではなく。
薄暗い通路をなんの躊躇もなく歩くアカギの後を、原田が早足についていく。
まるで、
原田は思う。
アカギはまるで意に介さない。怯えない、躊躇しない。度胸、なのだろうが、愚直にも見える。この殺し合いの場、赤木しげるという駒は強力すぎる駒なのだろうが、反面酷く脆いようにも思われた。
彼を上から抑え付けることは困難だろう。
しかし、彼自身が納得すれば?
なんの躊躇も無く、アカギは命を投げ出すのではないか。
アカギが不意に足を止めた。
「…ァ
呼びかけようとしたが、制される。
次いで原田も気付いた。血の臭い。
ドアの開いた、その部屋から流れてくる。目に見えるほど濃厚な気配。
アカギは、少しずつ、ドアへ近付き中を覗き見た。背後から、原田も倣う。
「……!」
這い蹲った若者が1人。
見下ろしている老人が1人。
若者は手負いのようだった。老人から、距離をとろうとしている。
命乞いだか雑言だか、判別しがたいか細い声が若者から漏れていた。老人の手には、鉈のような凶器。ほんの一瞬、助けるかと、原田は迷う。小柄な老人だ、それにこちらに気付いてはいない。自分の体格で突っ込めば、老人を止められる可能性は高い。
しかし、若者を助けたからといってどうなるというのか。
老人に、なんらかの反撃を受ける可能性もある。
半歩、踏み出した足をアカギが制した。
瞬間、老人の手にしていた鉈が若者の胸へと振り下ろされる。
「………ククク、ふ、く、…くかかかかかか…ッ」
痙攣しながら絶命していく若者を前に、老人が哂う。気分が悪くなるような暗い、狂いに満ちた笑い声。さらに漂う濃厚な血の臭いに、原田は眉を顰める。
アカギが、一歩を踏み出した。
「ァカッ…!!」
驚愕し、止めようとした原田だが、アカギはそのままスタスタと血臭漂う室内へ。
「…っ!?」
しょうがない、こうなれば自分が突進するしかないと、原田も続く。
アカギと老人は、少しの距離をとったまま互いに凝視しあっていた。
「………アカギ…?」
度肝を抜かれたのは原田だ。老人がアカギを認識していた。
「探したぜ、鷲巣」
いま、何と。
硬直する原田を背に、血塗れの老人に歩み寄ったアカギは、老人の頬にべたりと張り付いた血液を手の甲で拭っている。慣れた動作だった。
その、老人の目はアカギを通り越し原田へ注がれていた。殺意や敵意に近い、その視線に原田も構えた体勢を取る。
「…ククク、警戒するなよ…」
老人の目尻に口付けたアカギに、別の意味で硬直した原田は、次の台詞にそのまま氷塊と化した。
「俺の前でアンタを誰かに殺させると思うのか?」
老人がまた、納得したように殺意を解いたのが、原田の氷塊化に拍車をかけた。先ほど、原田の動きを制したのは、老人に危害を加えさせない為か。
アカギと老人が、小声で何事か会話している。別に、聞き取ろうと思えば聞き取れる程度の音量だったのだが、あまり聞きたくない内容だということを野生の勘で察知した原田は敢えて耳栓。
「…なあ、悪いがちょっと外してくれねえか」
「……は?」
「30…、…1時間程度」
何故、と聞き返すほどには野暮でなく、また答えを聞いて平静でいられる自信もなかった原田は、カクリと頭を落とすようにして頷いた。
いま、隣の部屋になら大き目のソファーがあるとか聞こえたけれど、聞こえないなーんにも聞こえない。
ともかく、この部屋は死体も1体転がっている、此処に居る気にはなれない。通路へ出て、そのまま床へ座り込んだ。室内から、おそらく隣室へ移動したのだろうドアの音が聞こえてくる。
とりあえず、胸ポケットから煙草を出した。
この場所では煙草すら貴重品なのは解っていたが、いま吸わずしていつ吸えというのか。嗚呼、煙草って便利だ。
丁度、1時間過ぎたかすぎないかという頃合い、アカギが部屋から現れた。老人は、アカギが抱えている。やけに大人しいと思えば寝息も立てずに熟睡している様子。
「寝かせたいから、ベッド探してくる」
端的に。
人ひとり殺して哄笑響かせた狂人が、アカギの腕の中で(原田に見られると推測できたろうに)完全に寝入っている。
化物を飼い慣らすのは、同じ、化物なのか。
大きく息を吐いて、短くなった煙草を放り投げ、靴裏で火を揉み消した。
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