いわゆる裏的な
Posted by 瑞肴 - 2010.06.08,Tue
江崎さんと後堂さんのSSです。
江崎が新聞を広げてソファーで寛いでいた。後堂は、部屋には入らずその後頭部に視線を投げる。
――寛ぐのは、それは別に構わないことだ。特に不審な点もない。
気になったのは江崎が何か、白い細い、棒状のものを咥えていたということ。
「(煙草は吸わない筈でしたが…)」
江崎と何度も接するようになって意外だったのは、彼が非喫煙者だったという所。あんな髭で、長髪で、スーツの袖を捲り上げるような男だというのに、煙草を吸っている姿は見たことがない。
(最後、あんまり関係無いが)
もしや、禁煙中だったのか。
禁煙パイポか何かかもしれない。
少しの興味を引かれた後堂は気配を抑え、背後からそっと江崎に接近した。
今まで、隠れて禁煙グッズを使っていたなら涙ぐましいではないか。…それを暴けるかもしれないという、ほんの僅かな悪戯心があったことは否定しない。
「(あの大きさはやはり禁え… ……いえ、あれは…)」
白い、細い、短い。
あれは。
「ココアシガレットって…」
なにそれひどい。
唐突に背後から投げつけられた脱力の極みを滲ませた音声に、江崎がくるりと振り返った。
「はァ…? なんでしょう、どうかされましたか?」
「甘党なら甘党と言えばいいじゃないですか!! 紛らわしいんですよ貴方は!」
「え、あ、はい、すいません…」
そうだった、そういえば。
初めて会ったときは麦チョコを頬張っていたし、ある時はポッキーを齧っていた。
だからって、だからって、新聞読みながらココアシガレットは酷い。
華僑の狗、指名手配犯、どうしようもない雀ゴロ。ひとでなし。
「イメージは大切にして下さい…!」
ぷりぷり。怒るだけ怒って部屋を出て行ってしまった後堂を呆然と見守り、ポリポリとココアシガレットをひとまず口の中で咀嚼し、嚥下。
「……なんで怒られたんですかね、私」
まったくワケの分からないままの江崎だけがポツンと部屋に取り残された。
誰が悪かったのか、何が悪いのか、そもそもそれは悪いことなのか、その答えは誰にもきっと分からない。
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