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いわゆる裏的な
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Posted by 瑞肴 - 2010.09.22,Wed
もうちょっとほのぼのした話になるはずだったのですが。
むこうぶちSS、華僑組。








コーヒーに砂糖をいれるのは良い。
紅茶も、好みだろう。
しかし牛乳は、牛乳にまではどうだろう。
ホットミルクというわけでもなく、ふつーの、冷えた牛乳に、砂糖、を。

「奇異の目で見ないで下さいませんか? 後堂」
「…いえ」

ぬるりと視線を外す。

江崎は、甘いものが好きだ。
何かと菓子類を口にしている(その割りに太らない)。それこそ個人の好みなので、文句を言うつもりはない、のだけれど。

「…冷えた牛乳に砂糖というのは少々珍しく思えて」

からからとマドラーでガラスコップの中身を掻き混ぜていた江崎は、いつもの笑みを浮かべてみせた。

「そうですネ、そこは否定しませんよ。どうもねえ、甘いものが好きなんですよ」

知っています。
初めて会ったときも麦チョコを食べていた。
変わった男だと思ったものだ。
男の甘党が珍しいというわけではなくて、それを隠そうともしない態度が珍しい。

椅子に、逆に座った江崎は、コップを片手に持ったままで椅子の背を抱いてゆらゆらと揺れる。

「海の上は塩ッ辛いものしか無くて。魚も汗も、体も、なにもかも塩っぽくて、嫌ンなりまして」

江崎は笑っている。
――江崎が笑う以外の表情を浮かべているところを、後堂は見たことがない。

「それででしょうかね、陸に上がってからは甘いものに執着するようになっちゃいました」

恐らく
舌と繋がった、記憶の、トラウマなのだと思う。
己がいつでも甘味をとれる状態に在れるということが、大切なのだろう。

「単純に、日夜劉サンに扱き使われて疲労してるだけかもしれませんがね。まったくあの人は、人使いが荒いですから」

肩を竦めて笑う江崎は、自在に、幾つでも、逃げ道と言い訳を用意してくる。
きっと表情を読まれてしまった。苦々しく、後堂は自覚した。

違う、そんなありきたりな、可哀相などというシンプルな単語に分類したいわけではない。しかし江崎はそれは解る気はないのだろうし、違う、何かの感情で江崎をどうこうしてやれるわけではないから、後堂も口には出せない。

「…、」

剥ぎ取れない、それ(笑顔)は既に江崎という個に埋め込まれた一部だ。それが例え楔で打ち込まれ、突き刺さった箇所がどれ程傷付いていようが、無理に引き剥がせばもっと酷い疵になる。

「…江崎」
「はい」
「疲れているときは、疲れている顔をして下さい。手伝いますから。糖分でばかり補ってはそのうち糖が出ますよ」

また、笑った。
しかし今度は面白そうに。

「糖尿ですか? 流石に一寸嫌ですねェ、面倒くさい」
「そうならないように、ということです」

はぐらかされなかった。ほんの僅かにでも、言うことを聞き入れるつもりはあるらしい。
油断は出来ないが。

「お気遣いありがとうございます」

そういって江崎は、少しばかりぬるくなった砂糖入りの牛乳にくちをつけた。



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