いわゆる裏的な
Posted by 瑞肴 - 2010.09.24,Fri
むこうぶちSS
うしえざ。
うしえざ。
「――― 最 悪 です、ネ」
ごとん。
頭を壁にぶつけるように凭れ掛かり、江崎は低く呟いた。
気分は最悪。最低。最下層。
指先で引き寄せたボックスティッシュから数枚抜いて、手と、周囲を拭って、もう色々と見たくもないので瞼を完全に伏せることにする。
下降一直線の気分は何も、いわゆる「賢者タイム」に入ったから、というだけではない。
左手を口元へあてがい、輝く銀色を、自棄気味に齧った。…薬指にはまった指輪を。
自慰をしたのは久しぶりだ。とても。とても。
「…はあ」
何を、想像した。
眉を顰める。これは酷いと、唇を歪めて笑う。
好ましいと思った。次に、好きだと思った。だから、距離を取ろうと思った。大切なものを持つにはこの身は柵に囚われすぎている。
それなのに、彼に、よりにもよって抱かれている自分を想像した。抱いてる想像の方がまだマシだ。
「…すみません」
此処には居ない相手に謝る。
自分自身への気休め。それでも言わずにいられなかった。
「……すみません、でした。何やってんでしょう、私は」
馬鹿なと笑う。
指名手配犯の、狗の、ひとでなしの、ひとごろしが。
何を押し付けるつもりなのだかと、笑う。
薬指から指輪を抜いて、弄繰り回した江崎はそれを投げる動作をとって、結局ポケットに仕舞いこんだ。
「ほんと、何やってんでしょうかね」
出ている答は江崎の目には入っていない。
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