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いわゆる裏的な
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Posted by - 2024.11.01,Fri
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Posted by 瑞肴 - 2011.02.25,Fri

特に意味も無い、日常むこうぶちSS。華僑組。

某所にて描かれる、代理ご家族しりーずが好きなのです。
なんか、いいなぁと思っていつも拝見しとります。




「――、すみません、こんな話は退屈ですね」
ふと気付いた後堂が、唐突に話を打ち切った。
日本の東の端の方にある、後堂の出身地での積雪が今年は酷いということから、昔むかしの、古い祖母の家でのことだとか、垂れた硝子のはめられた窓のことだとか、そういった類の話をしていたのだけれど。
「いいえ、とても楽しいお話ですよ? よろしければもっと色々お聞きしたいくらいで」
「…はあ」
事務所のソファーに座り、長い足を組みなおした江崎がニッコリと(いつものことだが)笑顔を浮べる。江崎は普段からリップサービスが多い。あえて、効率を求めないように動いている節もある。
しかし、どうも今回の言葉は。
「楽しい…ですか?」
懐かしいとか、珍しいとか、和むとか、ではなく?
キットカットを齧る江崎は、ええ、と一つ頷いた。
人鬼に挑む前から、ずっと。
江崎は”個”であった。江崎の肉親らも”個”であった。集団ではない。それが、良いとか悪いとかでなく、そういうものだと思って育って育ちきった江崎にとって、後堂は新鮮な価値観を持った人間だった。
血に縛られ、血を愛しむ。当然のように、繋がる。
それは勿論、理屈・知識としては”そのようなもの”が在るのは知っていて、仕事上ずいぶん利用もしたけれど、あくまで持っている手札の絵柄の一つに過ぎない。
「コーヒーいれますから、ね、もっと話して下さいませんか」
聞いてみたい、聞いていたい。
聞くだけだから、いいだろう。
「…大した話はありませんよ」
眼鏡の位置を直しながら、どうやら話してくれる気になったらしい。
江崎は殊更良いホホエミを浮べると、コーヒーメーカーへ手を伸ばすべく立ち上がった。


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