えー
表においてある、二万打リクエスト「カイジと鷲巣様ほのぼの」の
旦那乱入バージョンでござい…。カイジ→鷲巣様要素がほんのり強くなってます。ほんのりね。
旦那大人げNeeeee!!!!! みたいな展開になっております。
リクエストくださった某さま、すいません(脱兎)
また、失敗した。
「……なんで……っ」
伊藤カイジは顔に縦線を入れて、おたまを片手に >< ←こんなになっていた。
おかしい、子供の頃、たしかこうやって作った筈なのに、何度やっても上手くいかない。失敗したものは再利用できる…とはいえ、就業後、みなが寝静まってからやっているのだ、もう随分良い時間になっていた。広い厨房は照明を一部しかつけていないので薄暗い。
「…ぅうう、何が間違ってるんだ…?!」
「カイジ」
「確か、こうだった筈なんだけどな…」
「…カイジ」
「水のぶんry
ガンッ!!!
派手な音。最近聞き馴れたその音は、最近斡旋された就職先の上司が不機嫌な時に立てる、杖を何かに叩きつける音。カイジは慌てて視線を巡らす。
「ぅわっしず、さん?!」
赤いガウン姿の鷲巣が、超不機嫌そうにカイジを見上げながら見下していた。
「夜中にコソコソ何をやっとる…!」
「そのっ、あのっ、小腹が…? 空いて…っ、…そう、砂糖でも舐めとこうか…て…!!」
傍らに置いていた粗目砂糖の袋を、提示する。ジロリと、鷲巣の大きな猫目がカイジを睨みつけてから周囲を一瞥。そうして、フン、と鼻を鳴らした。
「蟻か貴様は。…まあいい、何か飲めるものを淹れて、わしの部屋に持って来い」
告げた鷲巣の後方、ぼぅと白い影が浮かび上がった。
「うわ…?!」
幽霊?!
半歩下がったカイジをいぶかしみ、振り向いた鷲巣が顎を少し上げる。
「 ……」
どうやら、幽霊などではなかったらしい。廊下の奥の闇に半ば紛れてよく見えないが、鷲巣の後ろに現れた白い影は、鷲巣と一言二言ことばをかわしている。
ソレは、サングラスを掛けていなかったし、白いスーツも着ていなかった。ということは、白服ではない。
こんな夜中に、ならば一体誰が。
下がっていた足を踏み出すとほぼ同時に、鷲巣へと伸ばされた長い腕が、鷲巣の体を廊下の闇へと引っ張り込んだ。
目を凝らすと、暗闇の中うすく笑った赤い双眸。一歩だけ前に出た足が止まる。
老王は特に、逆らう素振りはみせず、白い影に攫われた。
「……なんだ、よ…?」
頭を掻く。
何故か、ひどくもどかしい。
あの目が浮かべた笑みが気になった。カイジの、ゆるゆると柔い黒の双眸が、黒耀石の硬質なものへと変わる。
あの目は言っていた、『此方に来いと、命令されてないだろう?』。
「…そうだけどよ…っ、なんなんだアイツ…っ!!」
数日後。
ぽしぽしと駄菓子を齧っていた鷲巣を、物珍しげにアカギが眺めていた。
鷲巣が茶の時間に菓子を食べることはあるが、それが駄菓子というのは珍しい。アカギがほんの時折、持って来る菓子類というならともかく、アカギに身に覚えは無い。
「それ、なんだ?」
「カルメラも知らんのか」
ぽしぽし、かりこり。
商品名にはアカギにも覚えがあった。
が、今はそうではなく。
まじまじと、観察する。市販品にしては少々いびつに過ぎるように、見える。この老王に、こんなものを与えて、しかも受け取って口に入れて貰える相手というのも、そうそう思いつかなかった。だから、アカギは確信する。
ああ、あの。
己の鷲巣へ、踏み出そうとしていた男。
鷲巣以外で、珍しく、アカギの示した意図を瞬時に理解した男。
「…クク」
「ぁ゛?」
なんじゃ気色悪い。
眉を顰めた鷲巣の口元についていた菓子屑を、ぬるりと舌で拭う。ほろ苦い甘みが滲んだ。
「~~アカギ!!」
「1個食っていいか?」
「…へぁ?」
とてつもなく珍しい言葉に、鷲巣は毒気を抜かれたように目を見開いて気の抜けた声を出した。アカギは甘いものをそう好まない。興味を引かれた食べ物があったとしても、鷲巣がそれを口にするのを待って、唇なりその周辺なりに口付けたり舐めたり、それだけで満足だという素振りを見せるくらい、食への執着は薄い。
「…珍しいことを言う」
まあ、欲しいというなら、くれてやっても良い。アカギにも童心らしきものが存在するのかもしれない。そう解釈して。
かりかりと、駄菓子を齧るアカギが目だけで笑った。
誰も此処へ、到達させる気はない。
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