いわゆる裏的な
Posted by 瑞肴 - 2010.11.16,Tue
海賊パラレルで俳優パロ。
鷲巣さんと、不憫なヤクザ。
過去に色々あったのです。イロイロ。
鷲巣さんと、不憫なヤクザ。
過去に色々あったのです。イロイロ。
ごそごそごそ。
夜中、否、早朝か。
そんな時間帯に似つかわしくない音がした。
「――誰や?」
徹夜麻jy…
ちと複雑な仕事も山場を越えて、水を飲むついでに軽く何か食べるものをと、広い厨房へ足を向けた原田はシパシパとする目に辟易しながら、物音の方へと声を掛ける。
「……原田君」
「うえ」
会う心構えをしていない時には会いたくない相手がそこにいた。
手に持っているのはカップで、もう片方の手にあるのはビスケットか。
グラスを探し出し水を注いで口をつけながら、見るともなしにそれを見下ろす。
「アンタかいな。何やっとんねん、こないな時間に」
「…お腹が減ったので、分けて貰っていたんだよ」
ああそう。
別段、構いはしない。此処は原田の管理領域ではないし、分けてといってもたかだかビスケットと、カップの中は牛乳か、その程度、少し減ったところで問題ないだろう。
そのわりに鷲巣はばつの悪そうな顔をしている。珍しいことだった。
「原田君、君がそんなことをするとは思ってはいないけれど、その… …アカギ君には言わないでおいてくれないかな」
「ぁん?」
原田の頭が覚醒してくる。
これは、弱みではなかろうか。
大したことではないが、鷲巣本人には気懸かりなことらしい。
「つまみ食いを、か?」
「…うん」
弱み、ゲット!!
っしゃー。
ガッツポーズは心の中だけにとどめて置いた。
これでもう己のアイタタな黒歴史に怯えなくて済むではないか。話を持ち出されそうになったら、こちらもこの話を持ち出せば良い。
しかしだ。
「そら構へんけどな、ただのつまみ食いやろ。何がそないに恥かしいねん」
手にしていたビスケットだけ、とにかく口に放り込み咀嚼して嚥下してから、鷲巣はツイと視線をそらした。
「…もう数時間で朝食なのに、老いた身ではしたないことをしていると、……アカギ君に知られたくない…」
呆れられたくない、嫌われたくない。
鷲巣の視線は釜戸から戸棚、壁へと落ち着きなく移りゆく。
「……………」
「…原田君?」
なにこの、胸がざわっとなる感じ。
「原田く…」
「わーーーーー!!!!」
いつの間にか、距離30cmで見上げられていて反射で悲鳴を漏らす原田である。
そして距離は200cmにまで、拡張。
大声を上げられて流石に驚いたのか、鷲巣は目を丸くして固まっている。
猫のような、緩やかにつり上がった双眸で。
くるりと動く目は鋭い。
何処までも嘘か真かわからぬ言を吐く唇は常に微笑を湛えている。
人を見透かし先に回って、蔑むでもなく手を差し出すのだ。大層親しげに、優しげに。『こちらへおいで、きっときてくれると思って、待っていたんだよ』。そんなことを言いながら。
そうして何隻の船がこの元海軍大将に絡め取られたか、数えるのも阿呆らしいわと言ったのは、かつての原田の恩師であったか。
それに、己も
「おおおおお扉が開くっ…!! 開いたらアカンのが全開しそうに…!! 静まれワイの青い思い出ぇえええ!!!」
「………ぇえー?」
なんだかよくわからないが、理不尽な扱いを受けている気がする。鷲巣は今度ははっきり不満げに声を漏らした。
「原田君?」
「だーもーーー! わかった! 言わん!! アカギには言わん! それでええなっ」
扉を閉じるのに必死な原田は、弱みとか脅しだとかそういうものはスッポリ思考から放棄した。なんという諸刃の刃。もうやだこの爺。多彩な角度から人のなんだかんだを暴き出して浮き上がらせるのは本当に止めて欲しい。
「…うん…? 言わないと約束してくれるなら、私はそれで。…原田君、大丈夫かい」
「大丈夫ちゃうわー、阿呆ーーー!!!」
「ぇえー…」
また理不尽になじられた。
原田は脱兎のごとく、走り去り。
どうしてだろう、何か悪いことをしたのだろうかと頭を捻るが、さっぱりわからない。弄った覚えもからかった覚えも無いというのに。
腑に落ちないままに残りの牛乳を片付けた鷲巣は、息をつくとトコトコと寝室に戻ることにした。
あまり長く姿を消していると、気配に敏い良人が、不在を察して起き出してしまう、ので。
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