いわゆる裏的な
Posted by 瑞肴 - 2008.12.14,Sun
女帝ネタ~。なれど死にネタご注意~。
さいごはこんな感じなんじゃないかな、という。
…パロディだからって好き勝手やってますね 焼き土下座orz
知っていた。風の噂で聞いていたけれど、特にリアクションはおこさなかった。いままで。
だのに今、そこへと向かっているのは、そこに”幽霊”が出たと、聞いたから。
やはりというべきか、門は閉鎖されている。
時刻は夕暮れ。
周囲に人の気配はなく、門と壁を無理矢理よじ登って、敷地内へ。
かつり、かつり。
杖の音が響く。
あの後、必要に迫られて持つこととなった白い細い杖。
かつり、かつり。
邸の中、一部だけだが構造はまだ覚えている。
もう誰もいない。それはそうだろう、主がいないのだ。もう。
静けさの中を歩む。
”幽霊”が、居るならきっと此処だろうと、あたりをつけてドアを開いた。
部屋の中。静かな、しずかな人の気配。
ああ、やはり。
「…居るんだろ」
相手に反応をかえしてもらわなければ、自分にはもう、分からない。
「アカギ」
空気が流れる気配がした。
陳腐な表現ではあるが、視力を失ってから、見えないものを見ることが出来るようになった。
動く気配や、想いや、そんなような流動的で不確かなものを、確かに感じる。
部屋の中央にある、それは、かつて自分がそうなりたいと望み願った人でなしの気配。
「……………誰」
「おぃいい!!! 俺だ!! 平山幸雄だ!」
「……ああ」
アカギの声は、そういえば、という響きを含んでいた。
まあ、あの時とは随分自分も様変わりしていたし、何より染めていた髪を今は染めていないし、あれから伸ばしっぱなしなので鬱陶しいほど長髪だ。
「…ったく。……此処に、幽霊が出るって…聞いてな。やっぱりお前か」
彼女では、ないと思った。残念ながら。
自分と初めて卓についたときの、あのときの彼女ならば化けて出ても不思議ではないが、アカギがずっと傍に居たなら、”そう”はならないだろうなと思っていた。残念ながら。
「ずっと此処に居るんじゃねえだろうな」
「……」
アカギの声は掠れていた。
「……、…あいつ、怒るんじゃねーの、今のお前見たら」
空気が揺れる。
動揺?
否
怒りというのが一番近い。
「…そういえば」
アカギの声が僅かに哂う。
ヤバい。
怒らせた。
まるで、彼女に睨まれた時のように視線だけで呪縛され、音をたてて何かを飲み込む。
「…アンタの瞼の裏側には、まだ」
首を、正面から掴まれた。
「アイツが居るんだっけ?」
僅か、力が込められる。
絞められる、どころではない、圧し折られるかというほどの、威圧感。
”此処”に居ないのに”其処”に居る。
いっそ理不尽ともいえる怒りを受けながら、冷や汗と脂汗を同時に浮かべながら、しかし平山は退かない。
「ああ、そーだよ! 羨ましいか赤木しげる…っ」
「………」
「……俺になりたいか?」
「………」
「なりたいかよ、アカギィ…」
手は、ゆっくりと離された。
気配も離れる。
部屋の中央へ戻った気配は、また、恐ろしいほど静かになった。
「…俺は、今でもお前が羨ましい」
「………」
彼女の、私室。
完全に、気配の溶け込んでいるアカギ。
唯一、彼女に受け入れられた男だから、か。
「…アイツにさいごまで愛されたお前が、羨ましいぜ」
かつり、かつり。
杖の音をさせ、気配が遠ざかっていくのを、アカギは意識の端で受け止めていた。
久し振りに雀荘に現れた赤木しげるの、一戦目の相手は盲目の雀士であったという。
むしられるだけむしられた彼に、むしるだけむしったアカギが何故か小さく礼を言ったのを、その場に居た元悪徳警官だけが聞き取った。
雀鬼 赤木しげる、昭和の或る日、活動再開。
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