前のの続き。しげる×女帝。
初めての夜編、これにて終幕 で す。 やっと…!!
途中でだめわし書いてたのがいかんかった。
これを読んでから、だめわしの最後のを読むと
幸雄さんのかわいそうっぷりが跳ね上がる・・。
何を馬鹿な。
そういって、いって笑うことは簡単だった。
しようと思えば出来たろうそれを、女帝は敢えてしなかった。
知っている。
あの、まるで永遠でもあったような夜、勝負したこの男が己に嘘など吐かないと知っている。己に真実しか吐かないと知っている。
「…鷲巣」
アカギの唇が、濡れた目尻に触れる。
「悪かったな。…アンタの立場がどういうモンか、もう少し分かってたら”一週間後”なんて言わなかった。…さっき俺が怒ったのは、アンタに対してじゃねえよ。アンタに触れた奴等と、奴等にその時間をくれてやった俺自身にだ」
まったく、図抜けた間抜けだと、
まだ何処かに怒りを残したままなのだろう、冷たく笑いながらアカギが囁く。
女帝は、手が白くなるほど拳を握り込んだ。
かつて、
女帝に対して、このような態度・言葉を示した男が居なかったわけではない。だが女帝はそれを信じようとしなかったし、欠片たりとも信じようとしないあからさまな態度のままあしらわれ続けた男達は、最後までは女帝を想い信じ抜くことが出来ずに消えていった。
「………戯言を」
ぽつりと、弱弱しく、女帝は零した。
視線を逸らしながら、ぽつぽつと。
「…100など軽く越える男共にこの身を曝し、与えてきた。貴様はそんな肉が欲しいのか。貴様の容姿ならば、…否、貴様ほどの男ならば、わざわざこの毒婦を食らわずとも、好きなものが手に入るじゃろう」
女帝は、彼女の人生の中で初めて苦く笑い、アカギの頬に指先で触れた。
「…このまま帰れ、赤木しげる。…最後に貴様に我が身の毒でも仕込んでやれればと、思っていたが、……興が殺がれた」
ほんの僅か撫でて、指は離れる。
離れようと、した。
「…鷲巣」
手を握り込まれ、引くに引けず、女帝は何度か瞬きする。
「俺の話、聞いてたか?」
口を開き、反論しようとした女帝を黙らせる為に、アカギの唇がそこへと重なる。
「アンタが喰いたい」
角度を変えて、何度も何度も深く口付けながら、アカギが囁く。
「…ずっと、そう言ってるつもりなんだがな?」
「……ぅ」
「アンタでなければ意味がない」
僅かばかり離れる顔。
目が、覗き込んできて、女帝は逸らすことが出来ずに見詰め合った。
「………私は可愛げなど無いぞ」
「…。クク、そうでもないさ」
「媚びるつもりもない」
「別に見たくねえよ」
「…機嫌が悪かったら、怒鳴るし殴る」
「良いさ。避けるかもしれねぇけどな」
「……」
黙る女帝に、アカギが笑う。
「ククク…もう終わりか? 鷲巣依和緒」
御託が終わったなら。
あとは抱き締めるだけ。
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