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いわゆる裏的な
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Posted by - 2025.04.07,Mon
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Posted by 瑞肴 - 2009.01.22,Thu


載せるところのない個人誌没案。

何処までも続く空があった日。 番外編。

此処に上げちゃえ、てーい。


















『……・・・・・…なんじゃ、それ…っ』
「拾った」
右肩に乗せて、担いでいる。
「公園の砂場に落ちてた」
『…外に落ちているものをホイホイ拾って持って帰ってくるな…!!!』
きしゃぁああああ。
白い猫が威嚇する。
尻尾の膨れ具合から見て、まあ、普通に怒っている様子。
激怒ではないなと判断したアカギ、担いでいたものを、床に転がした。
『!! 止めろ、床が汚れる!! 風呂にでも放り込め…ッ』
「服のまま?」
『…ハン』
その汚いボロキレが服?
そういう目で、白い猫はソレを見下ろした。
空腹のあまり倒れている伊藤カイジには、残念ながら反論する為の意識はない。

 

そして、30分後。
髪型はともかく他はコザッパリしたカイジが風呂から上がると、白髪のオッサンが冷蔵庫を覗き込んでいるところだった。
「…あ、・・・・オッサン、風呂ありがと…っ」
「ん…」
オッサン、もとい、アカギは煙草を咥えたままカイジを見遣る。
「なんか食うか」
「…でも、悪い、…その、俺金も持って…」
ぐぎゅるるるるりらららら。
腹の虫が代わりに返事。
「クク…。…酒と…生卵しか無ぇな、飲むか?」
え、どっちを。
極限の空腹にはどちらも辛そうで、カイジはとりあえず首を横に振った。
「……後は、チーズくらいか。銀二に貰ったヤツ…まだ食ってなかった」
ごそごそごそ。
冷蔵庫に顔を突っ込んでいたアカギから少し離れたリビング。
たむったむっ。音が聞こえて、カイジはそちらへ視線を投げる。
白い猫が、一匹。尻尾を不機嫌にソファの肘掛に叩きつけていた。
「オッサン…なんか、猫が怒ってる」
「ん、そういやコレはアイツ宛てだったな。…食いに行くか… 鷲巣?」
声をかけられるも、そっぽを向いたまま。
アカギは立ち上がり、冷蔵庫を閉め、白い猫の座るソファに歩み寄り手を差し伸べた。軽く鼻を鳴らした猫が、するりとアカギの腕を上り、肩に鎮座する。
へえ、猫って賢いんだなと、カイジは素直にそう思った。
猫に苗字をつけるなんて珍しい。しかし、そういえば、猫の名前は判っても、オッサンの名前が判らない。
「…えと、俺…伊藤開示って、いうんだけど……、オッサンは…? っていうか、俺なんでオッサンの部屋に居るのか…」
「赤木しげる。こっちは鷲巣。お前ぇが砂場で倒れて動かなくなってたのを、さっき拾った」
行くぞ。
そう言って、アカギはすたすたと玄関へ。何か食べさせてくれるらしいと察せられたが、どうにも掴み辛い相手だ。自分の普段のコミュニケーション力の低さを押しやって、そんなことを思うカイジだった。

オッサン、もとい、アカギは鰻屋にカイジを連れて行ってくれた。
久し振りのマトモな食事に、カイジは無言で飯を掻っ込む。
アカギはビールと白焼きのみ。個室なので、妙に静かな空間だったが気まずくはなく、カイジはそれが不思議だった。誰かと空間を共にすると、いつも自分はその空気をじめじめとしたものにしてしまう。今日は、そうならない。アカギが何か特別なことをしているわけでもないのに。
猫がいるから?
動物って、人を癒すとかいうよな。そう思いながら、鰻を食みながら、机の上に陣取る白い猫を見てみる。
視線に気付いた白い猫は、杯につけていた舌を引っ込めカイジを見上げ、鼻であしらった。
「……うぐっ……」
ちがう、この穏やかな空気は猫のおかげなどでは断じてない。カイジはそう判断し、実際それは正しかった。
たしたし、猫の尻尾が机を叩く。杯の中の酒が無くなったようだ。
アカギは黙って、冷えた吟醸酒を杯に注ぐ。猫の舌がまた、てちてちと。猫って酒も飲むんだ。動物をどうこうしようと思ったこともないカイジはアッサリ状況を受け入れたが、一般的には随分妙な状況だ。
もしゃ、もしゃと、鰻重をやっつけたカイジ。静かなアカギの視線に気付く。
「…?」
「手…」
注がれている視線の先は、軍手をしたままの手。
「どうして、着けたまま?」
小さく笑って。
「…あ…、…これは…」
無残な傷跡があるからだ。到底カタギには見えない、傷跡が。
しかしアカギには風呂と食事を世話してもらった。ままよ、カイジは軍手を剥ぎ取る。
「……跡があるから」
4本の指の付け根に。
気付けば、猫のヒゲに素手を探られていて、カイジは心底驚いた。
「!!?」
机の上に乗せていた手を驚きのあまり引こうとすれば、白い猫の前足が甲を踏みつける。
『ナ゛ァア』
「…ああ、アンタは聞きたがるかと思ってな。拾った」
白い猫は、ふふんと尻尾の先を揺らし、アカギの膝の上に乗る。
「え?」
「いや。…それ、賭けたんだろ? どんなギャンブルだったか聞かせちゃくれねえか」
ギャンブラーの、においがした。
笑いながら言うアカギは底が知れない。

一通り話を終えると(流石に部分的に省略はした。話が長くなり過ぎる)、白い猫はたむたむとアカギの膝に尾を打ち付けていた。
「 ? 」
「…気にしなくていい…、話は面白かったぜ」
猫の、喉を撫でながら。
「…面白いのか…?」
他人に話したら、引かれるだろう。くらいの認識は流石のカイジでも持ち合わせている。
「狂気の沙汰ほど…面白い」
ぬるりと冷たい視線がカイジを貫いた。身震い、する。
体のすべての感覚が伝える。彼もまた博徒なのだと。カイジの、多々の修羅場を薄笑み浮かべながら聞ける博徒なのだと。
『ウナァ』
「…ああ」
尾で催促され、また銚子を傾ける。
「…赤木…、…さん」
「ん?」
勝負、したい。
何故か強烈にそう思った。この男なら、受けてくれるだろうとも思った、けれど。
「ん、…なんでも…」
その前に、打ち倒さなければならないものがあった。
沼を。
カイジの沈黙と、両目の奥で燃える暗い強い光に気付いた赤木は杯を傾けながら笑う。
「…クク、……面白そうな人生だ。なぁ、鷲巣」
『……ヴル』
貴様が言うなとでもいうように、白い猫の尻尾がアカギの腕をピシリと叩いた。


 

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