いわゆる裏的な
Posted by 瑞肴 - 2010.05.15,Sat
その巨大な蛇は真白だった。
光のように白いのに、酷く生々しくもあった。爬虫類特有の冷たさをあまり感じさせない、思わず触れたくなるような、かといって手を差し伸べれば吸い込まれ尽くしそうな、恐ろしさも感じさせた。
『「智恵と淫楽の蛇」 が 現れた』
アカギ達の周囲を囲んでいた、無数の魔物たちが強張るのが目に見えてわかる。
反射的に、白い蛇に構えた一行に、上空に浮かびうねうねと身をくねらせたそれは目を細めて笑った。笑ったのが、わかった。
白い蛇は口を開ける。
ちらちらと、赤い細い舌が蠢いた。
「”アカギ”君の意識を取り戻してくれた、お礼… 此処は私が引き受けるよ」
聞き覚えのある声に、カイジと平山が目を見張る。
「あんた、”鷲巣”さん?!」
白い蛇は身を捩る。
黒い空に、薄っすらと輝いてすらいる白い体は良く映えた。
光が震える。
長い、細い、蛇の形をとった光が、魔物たちの体に絡みつき、物理法則を無視して体へ傷を付けずにあらゆる箇所から潜り込んでいく。
血は噴出していないし、肉の裂ける音もしない。蛇が喰っているのは肉ではなく、恐らく、それよりも根元に存在するエーテル体。
周囲から上がりはじめる呻き声と絶叫は、苦痛なのだろう。だろうけれども、体を突き通る光の蛇が蠢くごとに、歪められる表情には苦痛と同程度の悦楽が混じってもいた。
体を喰われて、感じる――感じさせられる、快楽。
それはどんなものかと想像した平山の顔から顔色が消えた。
白い蛇はまた目を細める。
喰っている。魔物たちがバタバタと倒れていくにつれ、白い蛇はより艶かしく輝きを増していくから。
「…”アカギ”君にこの姿は見せたくなかったから、ずっと人型をとっていたのだけれど…。今は完全に意識を喪失しているから、ね」
うねる白い蛇の体が、空間を突き破る。
大きな模造紙を破るような、派手な音と共に空が捲れ、白い蛇のうねるままに幾つも穴が開いていく。
穴の向こうに、城、に似た建造物が垣間見えた。
「――鷲巣が居るんだな?」
まったく、眸の色を変えずに己を見上げているアカギに、白い蛇は心持ち、嬉しそうに尾を振った。緩やかに。
「いってらっしゃい、気を付けて」
まるで遊びに行く子供を見送るような柔らかさで告げ、次の瞬間、白い蛇の滑らかな尻尾は一行を地面から掬い上げ、『穴』の向こう側へと(結構容赦なく)アンダースロー気味に投げ込んだ。
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