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いわゆる裏的な
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Posted by 瑞肴 - 2010.05.11,Tue
疲れたときには甘いものというか阿呆いもの。
俳優パロ馬鹿っぷる小ネタばっかり詰め合わせ。





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長時間文字を追うとき、鷲巣は眼鏡を掛ける。
眼球が細かい文字を辿って左右に動くのを、アカギはじっと見つめていた。

なにか、仕事(それは鷲巣の経営する会社に関わる案件らしい)で問題が起きたようで、夜中一歩前の時間、鷲巣は書類と対峙することとなった。

一時間にも満たない時間、電話を掛けたり部下に指示を出していたりした鷲巣が、ようやっと顔から眼鏡を外す。

「――御免ねアカギ君、折角来てくれたのにこんな…」

まだ何か言葉を紡ぎそうだった唇を、唇で塞いだ。

「お仕事中の鷲巣さんも素敵だから、良いんです。…お疲れさまでした」

今度はこめかみにも口付けを。

「それに、今からは俺の鷲巣さんでしょう?」

ぱちりと、瞬きをした猫目が嬉しそうに微笑んだ。

「うん、そうだよ」

固かった表情が和らいだ。
だから良いんですと繰り返し、アカギの腕が細い体を抱き締めた。



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意外なことに、アカギは鷲巣の、いわゆる「サイン」を持ってはいなかった。
初めて鷲巣に会ったときはそれどころではなかったし、それ以降も、サインをねだるというのが酷く恥かしいことのような気がして(それ以上の恥かしいことを幾らでもしたいまでも)サインだけは頼めていない。

「鷲巣さん…っ」
「ん…?」

何かな?
小首を傾げられて、アカギが固まる。

「サイン…を…っ…」
「 ? サイン…かい?」

鷲巣にしても、今更である。
なので拒絶の意味ではなく、純粋に不思議に思えて聞き返したのだけれど、アカギは弾かれたように顔を上げた。

「っすみません! なんでもない、です、なんでもないですーっ」

耳と顔を赤くしたまま走り去ってしまった。
取り残された鷲巣は流石に呆然と、遠くなっていく背を見送るしかなく。

「………サインが欲しかったのかな?」

なにか、色々順番が違う気がする。
若者の心中というのも複雑なものなのだろう。鷲巣はそう納得することにした。




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わき腹の辺りがくすぐったくて目が覚めた。

「鷲巣さん?」

他の誰であるはずも無い。
昨日は鷲巣の自邸、私室で、部屋の主が意識を失うまで何度も交わって愛し合ったのだから、他の誰かだったら逆に驚嘆する。

僅かに気だるさの残る眼差しが、シーツの海から現れた。潜り込んで、何をしているのだろうか。

「ふふ」

笑うだけで鷲巣は答えてはくれなかった。アカギが半身を起き上がらせると、両腕を伸ばして首に回してくる。

「おはよう、アカギ君」
「おはようございます、鷲巣さん。…さっき、何してたんですか?」

また、鷲巣は笑うだけ。
シャワーを浴びてくるねと言い残し、軽やかに寝台を降りるとバスルームに消えてしまった。

「…何だろ」

ぽりぽりと、掻いたわき腹。
なんとなく見下ろせば、黒い汚れ、否、線がそこに。

「…?」


鷲巣 巌


「なっ」

流暢な字体。掌で覆い隠せる程度のフルネームが書き込まれていた。寝台横の小さなテーブルには、ペンが転がっている。

「え、なに、…これって…」

持ち物には、自分の名前を書きましょう。的な…。

アカギの顔面が一気に赤く熱くなる。
ついでに、下半身にまで血が集まりかける。

「も…、鷲巣さん、可愛過ぎですから…。ずるい…」

バスルームにまで追いかけていったら自分が何をするか判らなくて、ばったりと寝台に倒れこむ。

可愛らしい恋人が湯上がりしたら、どう迎えたら良いのかをフル回転で考えながら。




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実は、鷲巣はサインというのをあまりしたことがない。
勿論、乞われたことは多々あるが、サインに意義を感じない鷲巣は乞うた相手にこう返す。

『それよりも、私を好いて下さっている貴方と握手させて頂きたい』

”人”に支えられて自分が在ることを実感したいのだと説明すると、大概の相手は頷いてくれる。

大勢に取り囲まれたとき、握手を繰り返していたら手が腫れ上がってしまったのも今では良い思い出だ。

今度は、自分がアカギにサインをねだってみようか。

そんなことを考えながら、シャワーの栓をきっちりと、締める。



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