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いわゆる裏的な
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Posted by - 2025.04.19,Sat
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Posted by 瑞肴 - 2010.05.26,Wed

何故に今? ケイゾクSS。
まやしばのつもりで。











ふと、柴田は顔を上げた。
上げようとした。
しかし、延々と酷使された首はそれを許してはくれなかった。
床にばら撒かれた資料を半日読み耽るという無体な仕打ちを許せる首はそうはない。
柴田は顔を上げることを諦めて、床に突っ伏すと寝返りを打つ形で仰向けになった。

空調は切られている。
電気も切られていた。

意識が三次元に戻ってきた瞬間、胃が悲鳴を上げ始めた。
壮絶な悲鳴。
「……あー……」

シュークリーム。

柴田の、三次元から暫く旅をしていた脳に、例のキャベツを意味する名を持つ洋菓子が思い描かれる。
それだけが柴田に思い描ける、唯一の食料でもあった。
脳の端のそのまた端の部分には、柿ピーやハーブティーもあったかもしれないけれど、とにかくシュークリームだ。

「シュークリーム…」

ぼさぼさと、起き上がった柴田の視界を、ぼさぼさとした黒髪が覆う。揺れる体に揺れる黒髪。
柴田は気にせずに歩き出した。

「シュークリーム、食べなくちゃ」

味は思い出せない。
ベージュ色の皮と薄いクリーム色だけはハッキリと思い出せる。

たべるもの、たべるもの。
糖分の摂取による利益と弊害をぶつぶつと呟きながら、柴田は署内を歩き出した。ふらふらと正門をくぐり、駐車場を横切る。
止められていた何台もの車の中、柴田はベージュ色のキャベツを発見した。

「シュークリー…!!」
「うっせえよ!! んで、臭ぇ、お前臭いよ柴田」

掴み掛かるが、真山に敵う筈もない。
たかが片腕で動きを制された柴田は、孵化しきれずに地面に落ちた哀れな昆虫のように真山の片腕の中で蠢いた。

「真山さん、邪魔しないでください、私にはシュークリームが必要なんです」
「あ゛ーっ!! 意味分かんねえよ!! このシュークリームは お れ の で、すぅー …って ぁ゛ーっ!!」

柴田は、真山がまだ手にしていたシュークリームを蜂のように刺して奪い取り咀嚼し始めた。

「なに…っ、おまっ、なにしてんの?!」
「ふぁやまふぁん、まっひゃひゅーくりーむなんて、じゃどうでふよ」
「うっせ!!」

ああ、シュークリーム。シュークリーム。

シュークリームに付いているのは、彼でなくてはいけない。



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