いわゆる裏的な
Posted by 瑞肴 - 2010.07.19,Mon
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ガッ。
硬いような鈍いような音がして、衝撃よりもその音に驚いてアカギは体を離した。
顔の左側の感覚が無い。
否、感覚は確かにあるのだが、あるからこそ何も感じない。
思い切り捻った格好となった己が顔の、視界の端に、握り締められて真っ白の拳が僅かに震えているのに気付いて、改めて目を見開く。
「鷲、」
声を掛けるつもりが、怒りと嫌悪に燃える双眸に睨みつけられ、流石のアカギも己が失態に気がついた。
鷲巣が、ゆっくりと、殊更ゆっくりと、自分自身に何かを言い聞かせるように静かに拳を下ろす。
いつものように、怒鳴り散らされた方がずっとよかった。鷲巣は芯から昂揚すると逆に、喚き散らしたりはしなくなる。
「ごめん」
取り繕う上手い言葉を探しだせるほどにはアカギは普段の話術に長けてはおらず、ただ送らなければいけない単語だけを見つけて発掘した。
鷲巣の視線はアカギの顔で一旦止まり、殴られて赤く腫れつつある頬に移動し、暫し彷徨った末に下ろされた己が拳で止まり、酷く不愉快そうに目を細める。
「鷲巣」
「…、馬鹿ばかしい。帰れ、顔も見たくないわ」
その単語に引っ掛かった。
馬鹿が、ではなく、馬鹿ばかしい。
それは鷲巣自身に向けられた言葉だと、鷲巣巌に対してのみ無闇と聡いアカギには察せられた。
「悪かった。俺も、行きたいんだ。行こう?」
ビキリと鷲巣の目尻が怒りで引き攣る。
俺も と言った若造が腹立たしくて仕方がなく、て。
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