二日酔いなあれの番外編
ちょっとエロいw
「鷲巣様、少しだけでも召し上がって下さい」
レンゲを差し出され、鷲巣は数週間前にあった”いやなこと”を思い出した。
今日は、熱っぽくて、おそらく風邪なのだろう、食欲があまりない。あのときは二日酔いだった。あのクソ餓鬼が、いかにもの親切面をして差し出した粥があんまり熱くて、舌を焼けどした上にそのあと
「・・・・・・・・・・・」
びき。
鷲巣の額に怒りの血管筋が浮かぶ。
「鷲巣様?」
だが、今回蓮華を差し出しているのは吉岡で、まあそもそも誰かに何かを食べさせられるという行為は嫌いだったが、この腹心ならば構うまいという心は、ほんの少しだけ、ある。寝台からしっかりと起き上がるのも気だるいので、鷲巣は尊大に息を吐いてから薄く口を開いた。
吉岡が安心したように微笑んだ。食事をとらないと薬も飲めないから。
「どうぞ」
前回とは違い、薄い鰹だしで味付けされた上等な粥。ゆっくり運ばれた蓮華。
それでも、体はどうしても前例を思い出しているようで、鷲巣自身は意識していなかったが、そろりと寄せられた唇は蓮華の前で一旦とまった。
舌先で、警戒するよう蓮華に触れて、どうやら大丈夫らしいと確認すると蓮華を包み込むように舌を差し出し、ゆるゆると舌の上にのるトロリとした粥に唇があまり触れないように、ゆっくりと喉全体で飲み下す。
「ん゛」
少し熱かった。が、許容の範囲内。むしろそこまで冷めている粥は食べたくない。下唇に付いた残りを舐め取って、続きを、と再度口を開けば蓮華が止まっている。
「・・・吉岡!」
サングラスをかけた顔を鷲巣に向けていた吉岡は、首から額まで真っ赤になっていたのだが、鷲巣の呼び声に我を取り戻し、口の中でゴリッと音をさせると急速に顔から血の気を引かせていった。で、ぎくしゃく、蓮華に粥をすくいなおして差し出してくる。
「む」
軽く解説すると、主の無意識のあまりにエロくさい食べ方に気をとられて凝視していたところを主に呼ばわれ、我を取り戻して自分の舌を思い切り噛んで顔から緩みと血の気を引かせた、という流れ。
まさかそんな流れがあったとは、流石の昭和の帝王も気づく筈はなく、吉岡にとっては至悦と拷問が同居したようなこの状態は粥が無くなるまで続いたという。
「そりゃ、舐め方もモノの咥え方も教えてやったからな」
どこぞのドSの神域は、そういって意地悪く笑っていたとかなんだとか。
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