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いわゆる裏的な
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Posted by - 2024.05.16,Thu
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Posted by 瑞肴 - 2008.06.05,Thu

 

 

カイジを読んだら覚醒カイジにはまるだろうと踏んでいたんだぜ。

それがまたどうしてこんなことに。

あっはっは、今日の日記(ってーかSS)は、アノヒト→鷲巣様だぁああああああ。

あ、でもアカ鷲前提です。当然の如く。

 

 

あ、そんでもってアノヒトなので、当たり前のように気分が悪くなるようなネタも入ってます。最悪なことに、続きます。

 

 


 

 

 

 

 

 

 


気に食わないクソ餓鬼に背を押され、鷲巣は歩き出した。そうするしかなかった。
否。
前へ。
前へ進む為ならば、すべて、なにほどのことでもないのだ。

 

 

返答は直ぐ返ってきた。10日間だそうだ。鷲巣は電話の受話器を持ったまま眉間に深く縦皺を刻んだ。従者は連れて行かなければならない。吉岡と鈴木にしよう。あれらならば、他よりは良い。他よりもずっと、血に慣れている。
電話を本体に叩きつけて、部屋を出る。不機嫌に杖を鳴らしながら通路を歩くが、そんなことで気が晴れるわけもない。まったく忌々しい。忙しいのだろうに10日間も時間を空けて迎え入れる気も満々で、まったくもって忌々しい。そこに行くしかない自分が一番忌々しい。
私室に戻り、人払いをすると寝台の上で勝手にごろ寝していたアカギが見上げてきた。
「機嫌が悪そうだな」
「貴様が其処に居るからじゃ」
「ククク…成る程」
笑いながら手を差し伸べてくる。
無視しようと思ったが、気が変わって歩み寄れば、珍しいものを見る目を投げられ鷲巣は杖で寝台を小突いた。ぎろりとアカギを睨み付ける。
「…来いよ」
アカギが、伸ばした手で鷲巣の腕を取り引っ張った。
細い腕を掴む力は意外に強い。この手を取ったのはアカギで、己もそれを良しとした。だから、見せなければならない。でなければ己が納得しない。
珍しく、淡い薄い笑みを浮かべた鷲巣に、今度こそアカギは目を瞬かせた。

 

 

案内されたのは山奥の別荘だった。近くに建設中のダムがある。お誂え向きだと、鷲巣は思う。がめついドワーフが掘る地中には何が捨てられているものやら。そういえば、顔も、昔洋書で見た挿絵のドワーフによく似ている。
「鷲巣様、そろそろ到着致します」
伏せていた瞼を持ち上げる。暗い山の中に不釣合いな豪奢な日本家屋。既に此処から趣味が合わない。
「わかっておる」
屋敷の門前に立っているのは、当主自身。幾人もの従者が行燈を持って、周囲を照らしていた。
わざわざ迎えに出てくるか。鷲巣が目を細めて不快を露にしていると、車は静かに停車した。鈴木が先に降り、鷲巣側のドアを開ける。
「ようこそ…、巌さん」
サングラスの奥、鈴木が目を見開く。あまりに馴れ馴れしい第一声に度肝を抜かれてしまった。が、その変化はサングラスで隠せる範囲に辛うじて、止めて。
ゆるりと車から降りた主は、蛇の笑みを浮かべて当主を見遣った。
「貴様に名を呼ばわれるのは不快極まりない、以後2度と呼ぶことは許さん」
「カッカッカ・・、これは失礼…とんだ失礼を…」
慇懃に身を折り礼をとった当主も、歪んだ笑みを浮かべる。
年は40代半ばあたりか、ちょっと特徴的な顔の造詣をしていた。無論、悪い意味で。輪郭が崩れていて、鼻も鷲鼻をさらに崩した様子である。その歪みを更に強調していたのが、目。細い目は、澱み、ぎらついて、沼の腐臭を連想させる光を秘めている。
「では、ご案内いたしましょう」
「うむ」
当主が先に立って歩き出す。鷲巣が、少し後を続く。

 


随分遅い時間に到着したので、そのまま、部屋へと案内される。部屋といっても、離れだった。丸々、鷲巣1人(吉岡と鈴木も、含まれてはいるが)に使えという。ここでもまた、当主自ら中を案内していくので、吉岡と鈴木は奇妙な居心地の悪さに苛まれていた。それは、当主が2人を完全に居ないものとして鷲巣を案内しているから、だけではないようだった。
「此処が厠です。当家の大切な客人の為に、少し趣向を凝らしてありまして」
当主が少々自慢げに戸を開き、鷲巣が足を止めた。背中を見ているだけで判る。鷲巣の周囲の空気が冷えていく。果たして、何が。2人は目を凝らして鷲巣と当主の体に隠れているものを見定めて、見定めた故に凍りついた。
人が。
つるりと坊主頭が膝を抱えて、だが、前も後ろも判り辛い。耳が、鼻が、無いからだ。目、目は、瞼が伏せられている、が、よくみれば、瞼に縫った痕。無気力に顔面を上に向けて口を開いているように見てとれるが、その開いた咥内に白いものは、歯は、見えない、まったく。黒い穴が不気味に存在しているだけで、頭部全体がつるりと、丸い。座りやすい、ように? つまりこれは、この人間になりそこなっているこれは。
せり上げるものは確かに在った。だが、鷲巣の背中がそれを止めさせる。主の前で、主を招いた男の前で、醜態だけは晒すまい、絶対に。鉄より硬いその意思だけが、生理的嫌悪感を抑え付ける。
2人には見えない表情、当主には見える表情、鷲巣は一貫して無表情だった。
「相変わらず、わしを不快にさせるのが巧いな、和尊」
当主は亀裂のような笑みを浮かべる。
あろうことか、その笑みは嬉しさに満ちていた。してやったり、という笑みではない、鷲巣の返答こそが嬉しくて仕方が無いのだというように。
「此れはどれ程仕込まれた? えぇ? わし以外に触れたモノをわしに宛がうつもりか…っ、このうつけが…!!」
当主は感銘を受けた様子で、何度か頷く。
「ご尤も…、これは改善を考えなければいけませんな」
背筋が冷えて粟立つのは、そこに冗談の色合いが見られないからだ。
「下げろ。そして貴様も去ねぃ」
異論を許さぬ冷たさに、当主は再び身を折った。
慇懃に謝罪して去る当主の低い笑い声が、いつまでも離れの中に燻っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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