カイジ読んで(漫画喫茶で)
帰ってきてざわサーチからいろんな利根川せんせーを見て
トニーかっこえぇえええ!! ってなって
なんで書くのがコレなのか、今もって不思議でしかたないです。
しかもこの2人いいな!てなった切っ掛けは某神サイトのいわっちがクリーンヒットしたからなんだ
なのになんでこんな気持ち悪いもんに仕上がってんでしょう・・・サガ?
待ち遠しかった朝がやってきて、顔を洗ってサングラスを掛ける。何故待ち遠しいかというと、10日間が早く過ぎて欲しいからに他ならない。昨晩当主が、朝は庭の散歩を一緒にだとか言っていた。本当に行くのかと、きっちり身支度して現れた鷲巣の姿を見て思い知る。
「吉岡」
「は」
「貴様は残れ」
「…は」
「わしが不自由せんよう此処を整えろ」
「 ! …はっ」
鈴木に目配せすると、こくりと頷かれた。やはり。吉岡は鈍く重い怒りを持って確信した。この離れには仕掛けがある。昨晩だとて、厠からアレが運び出されて安堵していれば、風呂場にも似たようなものが置いてあった。鷲巣は激昂などはせず、極めて躊躇いない動作で近くにあった行燈を片手で持ち上げ、庭に放り投げたものだ。直ぐに黒服数名が現れ行燈から漏れる火を消し、鷲巣が顎でさしたモノを風呂場から運び出した。
絶対に、盗聴器くらい仕掛けてある。複数個。離れ全体を嘗め尽くすように設置してある確信がある。鷲巣の許可を得られたのだから、徹底的に発見し叩き潰す。鷲巣に触手伸ばす悪意を、吉岡が許容できるはずもなかった。
不穏な空気を纏う吉岡を離れに残し、鷲巣と鈴木は朝の散策に向かった。散策という名の何か別の行為だが。
「おはよう御座います、よく休まれましたか?」
当主がにこやかに(一般的な感覚で見れば、にやにやと)挨拶。
よく言う、と鈴木などは思う。
まだ何かあるかもしれないと、鷲巣に付き従って入ったその寝室を見て鈴木は息を飲んだ。深い赤を基調とした部屋は、鷲巣の為に誂えられたのかと思えるほどに、鷲巣の好みに沿った造りをしていた。特に気味が悪かったのは、寝台に使われていたシーツが、鷲巣の私室で使用されているシーツと限りなく似た素材に見えたことだ。ちょっと特徴的なサテンに似た、しかし厚みのある生地のそれは確か、海外から直接輸入したもので、日本でそれを所持している人間など限られている、筈。
「休めないような部屋を用意したのかね」
鼻で笑う鷲巣にもまったく怯まない。
「Parce que la voix de la grenouille était bruyante dans la montagne, c'était souci(山の中は蛙の声がうるさいですからね、心配していましたよ)」
広い庭園を歩きながら鈴木は耳を疑った。何を言っているのだろうか、当主は。直ぐに、鷲巣が口を開いた。
「Je suis beaucoup plus confortable que votre voix(貴様のそのだみ声よりは遥かに耳障りが良い合唱だったな)」
当主が笑っている。鷲巣は無表情だ。わけが判らない。英語でないことは判った。
「Ha-ha...Après que toute la promenade avec vous sois agréable(やはり貴方との散策は楽しいものです)」
鷲巣の握っていた杖が、池の辺の岩を無造作に殴る。
「Machen Sie allein einen Spaziergang Ein verwöhntes Kind(散策も1人で出来ない子供なのかね)」
「Nein.Weil es Sie gibt, ist es gut(いいえ。貴方がいるのが良いのです)」
唐突に言語を換えた鷲巣に、当主は淀みなく付いてくる。後で出てきたのは独逸語だ。独特の固い発音は辛うじて鈴木にその言語を判別させてくれた。
「Essen wir Frühstück(さて、朝食にしましょうか)」
先ほどの会話のやり取りで、当主はただの狂人ではないのかもしれないと思い始めた鈴木だが、朝食の席ですぐに、それはまったくの勘違いだと思い直した。”ただの”ではない、筋金入りの狂人だ。
鷲巣の為にか用意されたその席は、西洋風の芝生にテーブルを出した形式だったが、それはもう散々なものだった。卵の殻を割って、芝生に放り投げる。すると、芋虫のように体を布か何かで簀巻きにされた人間が這ってきて、それを食べ飲み込む。あまりの気味の悪さに辟易しながら主を伺い見れば、当主の会話に受け答えしながら、自然に当主と同じように食事を進めていた。豪胆かつ冷徹な神経を持ち合わせていなければ、とてもではないが食事をする気にもなれないだろう、この場で。
事実、微かに聞こえてくる卵の殻を咀嚼する音が耳にこびり付いて、鈴木は暫くゆで卵が食べられなくなった。
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