いわゆる裏的な
Posted by 瑞肴 - 2010.09.08,Wed
おべんとばっこに。
アカギ俳優パロSS。
アカギ俳優パロSS。
「嬉しいです、ありがとうございます!」
元気の良いお礼を聞いて、では、おやすみー、と、扉を閉めてから少し考える。
アカギは随分と、本当に、嬉しそうだった。
明日は屋外で長時間のロケだというので、勿論ロケ弁は出るだろうけれど、筋肉トレーニングもしていることだし、此処から弁当を持って出てはと提案、して…
「………いやいや、まさか、ねえ?」
朝、持って出られるように用意しておくねと告げると、花が綻ぶように柔らかく、微笑んでいた。アカギのあの微笑みはとても綺麗で可愛いと思う。
けれど、あれだけ、…そう、あれだけ喜ばれたということは、まさか。
鷲巣は数歩ドアから離れ、すぐ隣の自室に戻り、安楽椅子に腰掛ける。
「……まさか、私が作ると思ってる? …………思っている気がしてきた………。どうしよう、…そういうつもりでは無かったのだけれど…」
屋敷の調理師に作ってもらうつもりでいた。流石の鷲巣巌も、料理までは範疇外。最後に流し台の前に立ったのは、息子の小学校の遠足で、どうしても父親か母親の手作り弁当を、と学校から沙汰があったあの時なので、ざっと40年以上は前の話。
「あああどうしよう、アカギ君すごく楽しみに…してしまった、よね、あれは相当期待してる目だったよー… どうしよう…」
おにぎりくらいしか、作り方を覚えていない。
数分頭を抱えていた鷲巣だったけれど、意を決してパソコンの電源を入れ、「お弁当めにゅー」を探し始めた。
結構、この75歳は健気でもあったので。
朝の4時
広い調理場にて、鷲巣は立ち尽くしていた。否、先ほど炊飯器の電源はいれた。
手に、プリントアウトした、お弁当めにゅー。紙面には幾つかの書き込みが。
「…さて、と。まずは…」
難しいことは諦めている。
幸いにして、この調理場には調理器具はたくさん揃っている。食材も、ある。
そろそろ半世紀ぶりとなる包丁を握り、鷲巣は軽く眉間に縦皺をいれた。
危なかった。すごく危なかった。
七時には流石に間に合うだろうと思っていたし、実際間に合いはしたのだが、「お弁当にいれるなら冷まさなくてはいけませんよ」と、起きて出勤したら調理場で主がコマコマ作業中で度胆抜かれた調理師に、最もな進言をされて肝を冷やした。
そこまで思考が至らなかった。
大慌てで小型の扇風機を引っ張り出してきてもらって、冷ましている間に、こちらも起き出してきたアカギと朝食をとって、身支度の間に、詰めるつめる。
「わ、鷲巣様、詰めるくらいはわたしが…」
「いいんだよ、私がするから」
やって貰った方が見目がよくなるのは分かっているが、もうこうなれば全て自分で仕上げたいのが心情というもの。
ついに完成した素敵弁当に、アドバイス係として頑張ってくれた調理師と両手ハイタッチなんぞした屋敷の主で、あった。
玄関まで見送ったアカギに、弁当箱の包みを差し出すと、泣き出しそうな顔をされた。
「アカギ君、これを」
「!! …~!!! ありがとうございます! 大事に食べますねっ」
この反応は、作って正解、の反応だろう。
多少、いや大分、大変だったけれど、すごく今眠いけれど、頑張ったかいがあるものだ。
アカギが門を出るまで笑顔で見送りきった鷲巣は、切れた緊張の糸にはしたない程度の大きな欠伸を零して自室へ戻ることにした。
行儀は悪いが、どうしても二度寝したかったので。
豚肉と蓮根をオイスターソースと酒、味噌の調味料を中心に炒めて、軽く茹でたインゲンを彩りに加え、食感と濃厚さを重視した野菜炒め。
マリネ液につけておいたセロリとパプリカを削ぎ切りして、フライパンで軽く炒めて火を通したマリネ。
明太子を解したところへマヨネーズを加え、卵液と混ぜ合わせたのちにフライパンへと流し込んで巻いて仕上げる明太子マヨネーズの卵焼。
ズッキーニの素揚げのゴマ風味。
ぷらす、おにぎり(梅、おかか、鮭)(海苔、有明産)。
本日のお弁当めにゅー、以上である。
その日、午後、アカギと交友関係のある人間の携帯に、よくわからないがとにかく自慢したいとか嬉しいのは伝わった、みたいな本文と添付写真(綺麗な弁当の写真だった)が送られたのは、微笑ましい逸話だろう。
その頃まだ、作った張本人が夢の中だったとしても。
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