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いわゆる裏的な
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Posted by - 2025.04.05,Sat
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Posted by 瑞肴 - 2010.09.12,Sun
むこうぶちSS。華僑の狗。
夏らしい話がはやっていると聞いて。









車を取ってきますと告げて、戻ってきたとき、上司は真っ直ぐに両手を突き出し、海面へと銃弾を叩き込んでいた。

港の、コンテナだらけの一角。

ある交渉に引っ張り出されたので彼らは此処に居るのだが、一寸離れた間に一体なにがあったのか。
夜中で、小口径の銃で、音は小さいといっても大っぴらに立てられる音ではない。
慌てて駆け寄ると、銃弾を使い切ったのにも暫く気付かず、江崎は何度も引き金を指で引いていた。

「大哥!」

かちん、かちん、かちん、かちん、かち…

「大哥!?」

肩を掴み、大きく引く。

江崎の見下ろしている海面には何もない。ただ小さな波が揺らいでいるばかりで、黒い海には何もない。

引き金を引いていた江崎の指が、やっと動きを止めた。

「…―――楊、…」

細い、笑みの形の目が背後の部下を捉え、ゆっくりと銃が降ろされる。

「大哥、どうされました、何かあったのですか」

楊を見つめていた目は再び海面に戻る。
やはり、何もないのだ、そこには。ただ海があるばかりで。

「…遅いじゃありませんか、随分待ちましたよ」
「――…申し訳ありません」

ちぐはぐな返答だったが、江崎が絞り出した声があまりに憔悴していて、楊は江崎の言葉に対する謝罪のみを口にする。

「海風で冷えてしまいました」
「…は。…では、車…」

伸ばされた江崎の指先、目尻に触れたそれが本当にあまりにも冷え切っていて、驚いて目を見開く。そろそろ初夏の海風で、此処まで冷えるものなのか。

「大哥、車へ、早く」
「楊」

指の腹が、ゆっくりと耳を撫でる。江崎は笑っている。

「待たせたペナルティーです。今夜は私に付き合って下さい」

お願いします。
ね。

いつの間にだか、銃はホルダーにしまわれたらしい。自由になった両手で楊の両頬を軽く撫でると、海に背を向けて江崎は歩き出していた。

その願いは、例え命令ではなかったとしても叶えるつもりで、後を追う。

波の音がした。

黒い海には何もない。

あるならそれは、江崎の記憶の中にのみ、存在するのだろう。











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江崎さんは乗せられた船の上で、
1人だけ、自分の手で直接始末した相手がいます。
そういうことです。

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