相変わらず繰り返す自己陶酔のダンス

むこうぶちSSは大抵歌の題名か歌詞になっとります。

江崎さんと人鬼と、かわいそうな氷の男。

「日蔭サン」
「…なんだ」

江崎スマイルは崩れない。
少々の警戒でもって応えた日蔭は、何度か江崎と接触しているというのに未だもって大切な色々なことを学習できていない。
江崎が自主的に寄って来た時点で碌でもないことしか考えてはいないと、未だ学習できていない。大事なことなので具体的にいいました。

「大っ嫌い！…です」


ギュッ…


ギュッていうか何ていうか、それ何てタックル？
正面から日蔭の鳩尾へと突っ込んできた江崎に、氷の男は「ぐふっ」とか鈍い音を漏らす。

「え、江崎ッ？！」
「はい（上目遣い）」
「ばっ…馬鹿か貴様こんなことで俺の気を引こうだなんてチャチな小細工だなどういう魂胆かは知らないが体は正直だとでも言いた（以下略）」

すっげー笑顔ですよ、氷の男。

物陰から某家政婦のように２人を見守っていた人鬼が、グッと親指を立てる。
江崎も、日蔭には見えない位置から親指ぐっ、で返す。


そこに浮かんだ想いはひとつ　Good　Job!!　。


…江崎が数時間前、傀の読んでいた本に載っていた　「女子のモテカワテク５０！！　”可愛い素振りは男の人に大嫌いって言いながら抱きつくこと”を実行しにわざわざ日蔭を探し出したのだと、知っているのは人鬼と江崎だけで充分だろう。

完全に弄ばれている日蔭だが、気付いてないんだからそれはそれでいい、のだ、たぶん。


オッサンとおにーさんのお遊びは、続く。