いわゆる裏的な
Posted by 瑞肴 - 2010.06.24,Thu
むこうぶちSS
華僑組と可哀想?な氷の男
華僑組と可哀想?な氷の男
劉大人の狗は困っていた。
此処は事務所の1つなのだけれど、マンションに入っていくところを見られていたらしい。したたか床に打ち付けて鈍く傷む頭で、どうしようかと考える。
宥めようと、幾つか言葉を掛けたのだけれど、笑顔が逆効果だったらしい。逆上に近い怒りを買ってしまい、殴りつけられて現在床の上、だ。
「―――日蔭サン」
「………」
沈黙しか返らない。
否、上から、掌で口を塞がれてしまった。
呼吸が苦しくなって首を振るが、解放する気はないらしい。乱雑にネクタイを抜き取られる。
まあ、鼻呼吸すれば大丈夫そうではあるし、抵抗するのもそれなりに手間だ。好きにして頂きますかねぇと、体の力を抜いた。
「…また…っ そんな…!」
再度、顔を殴られる。ゴトンと鈍い音がして、視界にチラチラと白い光が散った。
無抵抗になったのが癇に障ってしまったようだ。
あとは、数十分かそこら、時間を潰すだけ、と思ったのだけれど。
「江崎っ?!」
奥の部屋から、声。
事務室にしている部屋に人が居たのだろう。驚いて江崎の名を呼んだ男は、床の上でほぼ取っ組み合い状態になっている2名を見て躊躇と驚嘆しているようだった。
男、つまりは所謂残業をしていた後堂は、室内に目を泳がせた。
江崎は床に組み伏せられているし、殴られた痕が顔に見られる。
これは、と思った後堂が取った行動は、ある意味非常に適切ではあった。
「動くなっ!」
放り投げられ床に落ちていた江崎の上着から銃を抜きだし、侵入者に向けて構えたのである。
流石に拳銃が出てくるのは予想外だったのだろう、日蔭の動きがぴたりと静止。
「動くと撃ちます。…江崎、こちらへ」
「え。あ、…」
どう、しよう。
日蔭は江崎を見下ろし、江崎は日蔭を見上げ、それから後堂を見る。
本気の目をしている。
江崎は思った。
後堂に怒られるの、嫌だなー。と。
「はいっ」
「え゛ッ」
そそくさと日蔭の体の下から抜け出た江崎は、しっかりと後堂の背後に陣取った。
「大丈夫ですか?」
「はい」
「江崎ぃっ!!」
「貴方は動かないで下さい」
撃ちますよと低く忠告した後堂の指は引き金に掛かっている。
「…ハッ、どうせこけおどしだろう、そんなもの」
「――試しに貴方の足を撃ってみましょうか」
(本物かこれ)
(紛うことなき本物です)
日蔭と江崎のアイコンタクト。
じわり。日蔭の背中に嫌な汗が浮かんだ。
「両手を上に上げて、ゆっくり起き上がって。…そう、そのまま後ろ向きに進みなさい」
じりじりと、日蔭を玄関にまで追いやって行く後堂。その間も銃口はピタリと狙いを定めたまま。
「ドアを開けて…、出て行きなさい、早く!」
「くっ… 覚えていろ…!!」
日蔭サン、その捨て台詞はいただけません。全然駄目です逆効果です。
江崎は心の中で突っ込んだ。
揺れるほど乱暴に扉が閉められ、走る足音が遠ざかっていく。
文句のつけようのない悪役だなあと江崎が感心していると、後堂が大きく息を吐いて銃を降ろした。
「中国マフィアだとか敵対勢力ですか? …東京は怖いですね」
「……ええまあ」
そういうことにしておこう。
「…銃、撃ったことあるんですか?」
「…月島の付き合いで大陸に行った時に、構え方だけは見て覚えました」
「フフ、…そうですか」
正確な撃ち方も知らないというのに、”本物”相手にあの啖呵。
存外に、楽しませてくれる。これだから後堂は面白い。
思うところがあった為に口数の少ない江崎の体が、少し身長の低い細身の体に抱き締められた。
「後堂…?」
「…もう大丈夫ですよ」
ポンポンと、背中を叩かれる。
恐怖の余韻で口数が減っていると思われたのだろう。
視線を反らせようとした江崎の顔、目尻はほんの薄っすらとだけ赤かった。
「……ありがとうございます」
ほらやっぱり、後堂に怒られなくて良かった。
それはどうよな自画自賛をしながら、江崎はそれでも一応心からの、お礼を述べた。
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後堂さんちょうかっこいい。
後日、バレて怒られました。
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