俳優パロおあそびちゅ。
赤鷲の一種。基本は赤ワシ、アカ鷲。
エロいというよりは一部下品?
それでもよろしければ、どうぞー。。。
最近、アカギの様子がおかしい。
否、正確に表現するならアカギの様子がおかしいのはいつものことなのだが、今回は少し様子が違った。
「……」
マイセンのカップを手に、陽の当たる自邸のリビング、鷲巣は軽く眉を上げた。
自分には何も心当たりがない。
ということは、自分以外の何かがアカギのおかしさの理由なのだろう。ほんの少しだが、面白くない。アカギが自分以外の何かに、心を動かされているのが。
「…ふふ」
そんな自分自身には面白みを感じて、口元を綻ばせる。相手を独占していたいなどと、まるで子供じみた素直な欲求。
「ご機嫌ですか?」
頂き物のクーヘンがあるので食べに来なさいと告げたら、先程のこのこやってきた息子は、ほんわかと花を散らしながら首を傾げてくる。
「そうだね」
ぎりぎり、見えない位置ではあるが、その鎖骨に噛み痕が薄っすらと。
注意するのは自分の仕事ではないと割り切っているフリーダムな実父は、こくりと紅茶を嚥下した。
「アカギくんの様子が、最近おかしいんだよ」
それの”何が”ご機嫌へ繋がる要素かは分からなくても、そういった”面白がり方”をする人だとは知っている。なのでワシズは不審がるでもなく、そうなんですかと頷いた。
「お仕事で何か、 …気になることでもあるんでしょうか」
「…何か…」
にこりと、薔薇が咲くように笑う。
鷲巣のこの笑みに勝てた相手を見た例がない。己も含めて。
「言いかけたね?」
ワシズの目が泳ぐ。
にこにこと、穏やかな笑みが続く。
「…その、…プライバシーの問題が…」
「これでも私は、アカギ君を心配しているんだよ」
「………」
アカギくん、ごめんなさい。
心の中で100回謝りつつ、ワシズは渋々口を開いた。
たぶん、おそらく、原因であるのだろう出来事を、鷲巣ならば知る権利はある筈だからと良心の呵責に耐えながら。
ざわ・・ざわ・・
ざわめくスタジオ、端っこぎりぎりの場所で煙草を吹かしていた赤木は、眼下から唐突に伸びてきた杖に顎を捉えられる。
「っう、?!」
そのまま顎を軽く持ち上げられてしまったので、視線だけで視界下方を確認すれば、気配をまったく殺して接近してきたのだろう鷲巣がにこやかに己を見上げていた。
ざわ・・っ
「…赤木君」
収録を終えてすぐ現れたのか、”鷲巣巌”の衣装を纏ったままの鷲巣が静かに、周囲には聞こえない程度の音声を紡ぐ。
「少し話がしたいから、後で私の控え室に来てくれるかな?」
ね? と、可愛らしく首を傾げた鷲巣は既に赤木から1mは離れていた。
「…イェッサー…」
勝てる気がしねぇ。
半強制的な何らかの引力に引き摺られ、赤木は重い足取りで鷲巣の控え室へと向かう。
こうやって部屋のドアをノックするのも何十年ぶりか。
感慨は明るいよりも、重さが大きい。
「…俺です」
「どうぞ」
かちゃり。小さな音をたてるドアノブ。入室して、後ろ手にドアを閉める。
大御所の控え室というのはやはり違うもので、簡単なとはいえソファに腰を下ろしていた鷲巣は、手で自分の向かいのソファを示してみせた。
しょーがないので、そこへと座る。
「…えー…、なンかしましたか、…俺は」
でなければ、呼び出すまい。
ただ、ワシズに関わることではないのだろうなとは、思った。なんとなくだけれど。
「アカギくんの様子が、最近おかしくてね」
口調はあくまで穏やかだが、底冷えしている。
触れた瞬間には冷たいと気付けないのに、握りこんでいるとじわじわと冷たさを実感する、宝石にも似ていると赤木は思った。
「正確には、2週間ほど前から…」
「…。…っあ゛ー…」
わかった、わかっ、た。
アレか、アレを気にしているのか、成る程それに関わることならば鷲巣に実害が及んだかもしれない。赤木は両手で頭を抱えた。
「…弁解しますが、ありゃ単なる軽口で…。…野郎同士ならそういうやりとりもするでしょう」
「するだろうね? 特に、親しい間柄なら」
鷲巣がソファから立ち上がっていた。頭を抱えていたせいで気付くのに一歩遅れた赤木は、ソファにめり込むように体を引かせる。
「でもね」
とん、と軽く、膝の内側を膝で蹴られる。これはと思ったのも束の間、既に鷲巣の体は赤木の片腿の上に鎮座しており。
「君が、アカギ君に○漏なんて言うから…」
あー、やっぱり、やっぱりそれか。小競り合いの中での減らず口に過ぎなかったのだが、若人にはダメージが大きかったらしい。
「~~気にし過ぎなンですよ、アイツが!! 幾らなんでも俺が実際ヤツがどーかなんざ知るワケないでしょーが!!」
「おかげで私は2週間もお預けをくらってしまったよ」
そこ、拗ねない。ぶーたれない。
のし、と、歳の割には、筋肉で弾力のある尻が、更に圧し掛かる。
「軽口でアカギ君が若くしてEDになったらどうしてくれるんだい? …だから」
お仕置きしようか。
数十年ぶりに見た笑みは、壮絶だった。
鷲巣にも、それなりの良識というものはある。やっていいギリギリと、やってはいけないギリギリは深く理解出来ている。
今更赤木とどうのこうのなる気は無いし、アカギが怒ることも悲しむことも、まして実子が嘆くこともする気はない。
…一番最後には、少し引っ掛かるかもしれないが、アカギに20日弱もまったく触れて貰えなかった原因に対しての怒りは自分自身意外なほどに深かったらしい。”ギリギリ”に僅か抵触する手段で、アカギの代わりに赤木に報復することを決めた、のが半日前。
局内部のトイレで自分でヌくというペナルティを(結果的に)与えられた赤木は、甥っ子を不用意に(そういう方面で)からかうのは止めようと深く心に刻み込んだ。
『俺がトラウマでEDになるのは良いのかよ…っ!!』
そんなようなことを、心で叫びながら。
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