いわゆる裏的な
Posted by 瑞肴 - 2009.05.07,Thu
ネタ元は前回のリンクと同じく。
拍手にて素敵な発想をいただいたので、やらかしました。
アカ鷲吉、3人同居設定。
鷲巣様が、ちょいと、あほのこ。
見間違いかと思った。
そんなわけはない。
スーパーの店内、鷲巣がカゴを持って、売り場の前で右往左往している。
遅い時間帯、うろうろしても迷惑ではないだろうが、そもそも何故鷲巣があんなところに。なんとなく棚に隠れて死角から見守るアカギは首を捻った。
アカギ自身は、チョコレート(鷲巣用)がそういえば切れていたのではなかったかと、立ち寄ったスーパー。まさか鷲巣が居るとは思わなかったので、無表情ながら驚いているところである。
カゴの中には、みりんらしき瓶が転がっている。
で、今鷲巣がいるのは精肉売り場。
買い物を頼まれた…、もしくは、買ってくるという仕事を奪い取ったというところか。吉岡が、自分から鷲巣にそのようなことを頼むとは思えないし、彼のことだから付いて来ようとするだろう。
鷲巣はまだ、パック詰めの肉を見下ろし、迷っている。
買うものは少ないだろう(吉岡が好んで鷲巣に荷物を持たせたがる筈が無い)、生ものを選んでいるということは、おそらく買い物はあれで終わり。
買うものを忘れたのかというのも有り得ない。たかが2品、鷲巣がモノが何かを忘れる筈も無い。
「……」
アカギはスーパー外の公衆電話に向かう。
『はい、もしもし』
「俺」
『アカギぃ? なんだ、わざわざ電話なんて…』
「鷲巣がスーパーで迷ってる。あんた、何を買ってこいっつったんだ」
『は…?!』
アカギの言葉は簡潔すぎる。吉岡は電話の向こうで肩を落とした。
己は鷲巣巌ではないので、そうそう簡単に読み取れない。
が、肝心な部分は伝わった。鷲巣が買い物に難儀しているという点だ。
『何って、…そんな、珍しいものじゃないぞ…。豚牛合い挽きミンチ300g…』
成る程確かに珍しい商品ではない。
「…わかった」
チン、と電話は切られた。
鷲巣に関することなので、吉岡ももう慣れたもの、怒りをみせたりはしない。
しかし、一体何を迷っているのか、それだけは気になったのだが。
とって返したアカギは、頭の中で推測を組み立てる。
鷲巣は買う物を忘れたわけではない。これは確定。
商品がそもそも売り場に無い。これも、遠目から見て確認したが、なさそうだ。商品はそこそこ並べられている。
鷲巣の思考は、仕事と運が絡まない日常生活においては、基本理路整然としている。だがそれはつまり、理から外れるのを厭うという意味合いももっている。
「鷲巣」
「…っアカギ?!」
手を伸ばせばすぐに届く位置に、豚牛合いびき肉280gのパック。
確認して、確信する。
300gぴったりの商品が無いから困惑していたのだ、この元帝王は。
「買い物か?」
「…む、…うむ、吉岡が、買い忘れがあると言いおったからの…、…買ってきてやると出てきたんじゃが…」
自分から仕事を奪い取ったというのにその仕事を完遂できず、鷲巣の大きな猫目が気落ちに歪む。
アカギの両手が抱き締めたがって微かに動いたのだが、当然のように”持て”とみりん入りのカゴを差し出されて受け取ったので未遂に終わった。
「何を買う予定だったんだ?」
「…その、合い挽きを、300gと言いおった」
なのに300gが無い。
不満の募った拗ねきった目に見上げられ、危うくカゴ持ったまま抱き締めそうになるアカギである。
「…なら、これでいい」
ひょいと、312gを手に取りカゴに放り込む。
「…良いのか…?!」
「少しの誤差なら、なんとでもするだろ」
「そ、そうか…!」
そうか、そういうものか。
鷲巣が何処となく感心したようにアカギを見上げ、アカギは微かに笑うと鷲巣の目尻に口付ける。
「っな!!」
「じゃあ、帰るか」
さっさとレジへ歩き出すアカギに、鷲巣の控えめな怒声が付いて響いたという。
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