いわゆる裏的な
Posted by 瑞肴 - 2008.12.29,Mon
アカギ魔王設定またきたですよ。
鷲巣様は拉致られてます。アカギに。
わあわあと、門の外がやかましい。
億劫な気分ながらも鷲巣が窓からそちらの方面を窺ってみれば、
徒党を組んだ人間が、門にへばりついているところだった。
群集の更に更に奥、通常、肉眼では見えない遠いところに陣取った指揮官らしき人間は鷲巣にも見覚えがあり、鷲巣が此処に『捕らえられた』と知った何処だったかの権力者が、後の褒美目当てに鷲巣を救い出そうとでもしているのだろうと推測する。
「…フン」
余計なお世話だと、鷲巣は思う。
この己が逃げられないのだ、他の誰であっても、どうとも出来るものか。
「……あれは、…アンタを奪いにきたのか」
背後から抱き締められる。
当然、じたばたと抵抗するのだが、魔力だけでなく体力も、この若者らしい姿かたちをした男には敵わないので腕は振り解けなかった。
「そうじゃろうな」
「そうか」
一言。
言い捨て、アカギは城の大きな窓から身を翻し、外へ。
「…!」
落ちたりはしないだろうと思っていたが、
大きく広げられた黒い竜のような翼に、やはりこの男は、これでいて一応魔の王なのだなと再認識する。
軽く翼を動かせば、かなり離れた門の上空まで、直ぐ。
なにをするつもりなのか。そういえば、アカギが己以外に対して行動を起こしているところは初めて見る。
アカギの唇が小さく動いたように、見えた。
途端
それは、一陣の風が水面を舞ったようだった。
アカギが翼を一度、羽ばたいただけで、
群がっていた人間が、すべて、無数の赤い珠となり弾け散る。
「……っな・・・!!」
見覚えのある色だった。
血と肉を混ぜた色だった。
恐ろしいのは、力の波動を感じたのはほんの一瞬だったこと。
絶叫すらも聞こえない。
声をたてられる、生ある者など何処にもいない。
「…まだ、いるか」
いつの間にか、これもまた一瞬で鷲巣が身を乗り出していた窓の直ぐ傍の宙空に浮いていたアカギは、視線をぐるりと裏門へ、向ける。
「…っ!」
同じく、そちらへ意識を放った鷲巣にも、わかった。
しかしあれは、あの気配は。
「あれも、アンタを奪いに来たみてぇだな」
淡々と、アカギが零す。
あれは、己の部下達だ。大人しくしていろと言ったのに。
忌々しく思ったのは数瞬だった。アカギはすでに眼前からは消えている。
「…待て!! アカギ…ッ!」
なんだ、これは。
鷲巣は、少なからず混乱していた。
曲がりなりにも王の名を持っているくせに、今のアカギはたった一つの単純な目的を達成するためだけに、自らの力を揮っている。
”鷲巣巌を此処に留める”。
たったそれだけの理由。
他にやりようなど、いくらでもあるだろうに、搦め手の使えない、能の無い男でもないだろうに、アカギはそれをする気がない。シンプルな、ただただの外敵の排除。
魔王のソレに、逆らえる者など居るのか、どうか。
追いかける。城の外には出られないが、裏門がよく見える位置にある窓を知っているので、そこまで、なんとか、走る。
ついた窓に齧りつけば、アカギが大きく翼を広げていた。
「…アカギ!!! わしの物に、勝手に何をするつもりか…っ!!」
「アンタの物?」
少し、迷ったが、直球こそが最善と判断した鷲巣が怒鳴り声を張り上げる。
「そうじゃ、そやつらはわしの所有物だ、貴様なんぞにくれてはやらん…!!」
アカギは、少し考えて。
「…そうか。アンタに要るものか」
「…む、まあ、…そうじゃな」
「ふぅん」
あっさりと、アカギが窓から入ってくる。翼は既に仕舞われていた。
興味は既に失われ、視線は鷲巣へ注がれている。
「けどもう暫く、2人きりがいいな」
薄く笑い、鷲巣を抱き締める。
門の外での徒労も、命と引き換えならば安いものだろう、鷲巣は心中でのみため息し、鬱陶しい長い腕を振り払おうと努力した。
アカギの言う暫くとは、いったいどれほどの時なのか、頭の片隅で考えながら。
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