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10：叶って褪める想いでもない



（これもアカ鷲。今日はこれで最後）

次からはもう少し楽になるだろう、と言ったなら
鷲巣はこれ以上ないほど目を見開いて凝視してきた。

また、するのかと、視線は語る。

またもなにも。

何度でもしたい。
いまだって、鷲巣がこれほど弱っていなければ
まだ。

珍しく、鷲巣は言葉を濁して
『一度すれば、…諦めるだろうと思っていた、が…』

何を。

心底不思議で問うと、なんともいえない顔をされた。



一度だけなどと
一夜だけなどと
満足できるわけがない。



鷲巣巌の、これからの生涯のすべての夜は
赤木しげるのものなのだと、
さて、どうしたら伝わる、ものか。