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いわゆる裏的な
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Posted by - 2024.05.21,Tue
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Posted by 瑞肴 - 2009.12.25,Fri



そのとき瑞肴に電流走る。



ハハキリさんの某所のサンタ絵を拝見して電波を受信しましたので、欲望赴くままに書き殴らさせて頂きました。
















次の配達先は「あちら」だ。
子供は好きではないし、ガキは尚のこと好きでもない。
けれど鷲巣巌の職業はサンタクロースで、ならば己が職業…仕事はまっとうしなければ気がすまないのが鷲巣巌だった。
背負っていた大きな白い袋を、抱えなおす。
サンタの袋であるからして、重さは感じない。

「やっと終わりか」

やれやれといった風情で息を吐いた鷲巣は、次の配達先へと歩き出そうとした。

「鷲巣」

一歩。
出そうとしたところで呼び止められる。

「……なんじゃ、アカギ」

アカギは既に仕事を終えたのか、白い袋を持っていない。
なんとなく、自分がアカギの後に仕事を追えるのが気に食わなくて、なんだと応えたものの鷲巣は数歩、歩き出した。

「待て、鷲巣」

「…なんじゃ、わしにはさいごの仕事がある。早く終わらせたいんじゃから…」



がしっ



「ぎゃっ…?!」

ぼたり。
白い袋が地に落ちた。

突然抱え上げられて、鷲巣は大きな目を更におおきくしてアカギを見下ろす。
否、見下ろそうとしたのだけれど
アカギは鷲巣の体を抱えたまま、赤いブーツで地を蹴ると配達先とは逆方向へと走り出す。

「ぁ゛…? え……?!」

白い袋と違って、鷲巣の体は重みがある。だというのにアカギは速度を落とそうともせず、たったったと走る、走る。

「………。ぁ…アカギッ!!! 貴様一体何のつもりじゃ…!!」

速度と揺れに帽子が落ちそうになって、反射で片手で帽子を押さえつける。

アカギの走る足跡が、闇の中なのにくっきりと黒に浮かび上がった。
走るアカギの背後には、ただ深いばかりの闇が広がる。それは動かない筈なのに、黒く、たゆたい、蠢き、揺らめき、月の無い夜の海のように誘うのだ。

アカギは眼球だけ動かす一瞥で背後を確認し、走り続ける。

「アンタを『あそこ』には行かせない」

まだ、まだだ、まだ早い。
鷲巣のさいごの配達先は、まだあそこでなくて良い。

「なにを、言って」

「俺はまだトナカイも上手く操れないし、ソリのスピード上げて荷物を落としそうになるし、…まだアンタに叱られないと駄目だ」

「……ァカ…ギ」

足音も掻き消える闇の中で、アカギは走る。鷲巣は抱えられたまま。






来年も2人、プレゼントを配ることだけは確かで、ただそれだけが大切なこと。


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