アカ鷲の曲というか
女帝の曲は、拍手で推薦していただいた これ と これ なのだと思います。
女帝と老王はやはしノリが違うですね~。女帝のが人間らしいですねえ。女性は感情の生き物ということなのかー。
なにやら本当にもうメロドラマ的なノリになってきて、書いてる自分がびっくりだという。
はい、前振りが長くなりましたがつまり以下女帝ネタ。前回の続きです。
多分まだ続くっぽい感じです。
「…ぁ?」
この男は、何を言っている。
自分を負かした相手が、自分の知らない誰かの手に落ちたのに苛付くならまだ分るが、そうではない。女帝はアカギに敗北し、いま此処にいるのだ。
敗者への執着を理解できない女帝は、居心地悪そうに腕の中で身じろぎする。
腕の中で動かれて、自分がまだ服を着ていたことを思い出したアカギが、さっさとシャツを脱ぎ去った。そのまま、寝台に沈み込む。
やっと始まるのかと、いっそ安堵した女帝なのだが、アカギは長い髪を梳いたり、目尻や肩口に口付けるだけで先へ進もうとはしない。
「……貴様、不能か?」
機能が正常に動かなくても、性欲がある男が存在するのは女帝も知っている。アカギもその類なのかと、不可解をそのまま音へ乗せて問うのだが、アカギは可笑しげに笑っている。
「いいや?」
答えて、また、肌に触れる。
愛撫と表現しきれない程度の接触。
抱き締められ、唇を啄ばまれる。
暫くは、約束なのだからとじっと我慢していた女帝だったが、前髪をかき上げられ額に唇を落されて、ついにアカギの肩を押し返した。
「~~何なんじゃ貴様は…ッ!! さっさと済ませろと言ったじゃろっ…!!」
「いま、してるぜ?」
目頭を舐める。
「…はぁ?!」
「したいコト」
「………」
急に、急速に、女帝はソレに恐怖を感じた。
此れは己を蝕む。
赤木しげるのソレだからこそ、己を蝕む。
「……~~っ」
触れられた箇所が熱い。
接触したと、そうとしか感じたことのない肌が、不可解な熱を持っている。
「…っぁ」
止めろ。
叫びそうになった女帝は、シーツを強く握り締めることでかろうじて声を留めた。これはアカギとの、いわば契約。死を免れる代わりに肉を差し出すという、契約。
反故にするなど、己のプライドが赦さない。敗北した上に契約まで履行できないほどに、落ちぶれるなどと、赦されるわけがない。
「……ッ…、…」
アカギの指と、唇が肌を這う。
柔らかい。
熱い。
そう感じるのが、何よりも、怖い。
「…鷲巣」
顔を上げたアカギが、見たこともないような表情で、女帝の目尻に口付けた。
それが、微苦笑と呼べるものだと気付いた瞬間、女帝の掌がアカギの頬を張った。
「無礼者…っ!!」
「痛ぇ」
無表情で言われても説得力がない。
ともあれ、女帝は激昂した。
「私(わたくし)を哀れむか…っ?! 突っ込むなり出すなり、それは好きにすれば良いっ…」
女帝の双眸は燃えている。並みの精神ならば、見据えられただけで震え上がりそうなほどに。
「…侮辱することは許さん…っ」
自分の言葉と、心の矛盾に、女帝は悲壮に眉を顰めた。
侮辱も卑下も、それすら好きにすれば良いではないか。心の内で冷徹な理性が吐き捨てる。
嫌だ、と。誰でもない、赤木しげる、この男に侮辱されるのが、嫌なのだと、僅かばかりの感情が主張する。
「……アンタ自分で気付いてねえだろ」
「…っぁ…あ゛?」
再度、アカギの唇が目尻に落ちる。
何か、啄ばまれ、女帝は不可解に目を細めた。
「さっきから、泣いてる」
猫に似た大きな目が、驚きに何度も瞬いた。
Powered by "Samurai Factory"