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いわゆる裏的な
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Posted by 瑞肴 - 2008.10.23,Thu



しげる×女帝
続きそうな感じですが今回はこれで終わし。

…なんだ、これは、なんだこのラブロマンス的な流れは。












くるくると、表情のよく変わる女帝だったが、そのとき見せた顔は、この部屋に入ってから初めてのものだった。


金をすべて失った憤りより絶望よりも浮き上がった表情<かお>が何であったのか、女帝自身は気付いてはいなかったろう。

『血はいらない。アンタが欲しい』

言ったアカギに、ひどく、失望したような、傷付いたような表情を、した。


とはいえ双方、特にアカギの失った血液量は半端なものではなく、一週間後、アカギが邸を訪れることで折り合いがついた。女帝側としても、日本を出る資金が無くなった今、大量の仕事と処理が待っている。とにもかくにも時間は必要だった。


そうして、再会。


案内された部屋、安楽イスに座っていた女帝はやつれた様子だった。そもそもの顔色が悪く、隈も酷いので、どこがどうと問われると説明しがたいのだが。
「寝てないのか?」
開口一番は、問い。
億劫そうに、しかし目付きは鋭くアカギを見上げた女帝は、鼻息を鳴らした。
「貴様には関係ない」
”此処”を護るのにどれ程の労力を要しているか、アカギに説明する気は無い。海外へ脱出するつもりだったのを捻じ曲げて国内に滞在するのに、女帝が自ら各所へ出向き、持てる手管のすべてを駆使せざるを得なかったのだと説明する気は。
女帝は立ち上がり、顎をしゃくった。付いて来いということだろう、読み取ったアカギが、歩き出した女帝の後に続く。
案内されたのは寝室だった。女帝が一枚、上着を脱ぎ捨てる。
「さっさと済ませろ」
投げ遣り、とも受け取れる。だがそれよりも声音はずっと硬かった。アカギは、不可解だというように女帝を見つめる。
手を伸ばすと、女帝が眉を顰めた。構わず指の腹で頬を撫でる。
「鷲巣」
「……っ」
手を、叩き落された。燃える双眸は卓の向こう側にあったものと同じで、アカギはやっと僅かに満足して薄い笑みを浮かべた。
「そうだ、アンタはそれでいい」
「…何…」
獣の眼差しを向けられ、そうして、噛み付くように口付けられて、女帝は眉根を顰める。
「俺が欲しいのは鷲巣依和緒だから」
今度は女帝が不可解な顔をする番だった。


服をすべて脱ぎ去り、寝台に横たわる。
絞められたり殴られたりは、無論、好きではない。アカギがそういう嗜好の持ち主なのかは分らないので、本来ならもう少しは警戒しても良いのだけれど、とにかく女帝は捨て鉢になっていたので大人しく横たわるままでいた。
「…鷲巣」
「…なんじゃ」
手を取られ、骨張った手に口付けられる。
「これは?」
やはり問うか。
体の至る所に、鬱血の痕。吸い上げた痕や、噛み付いた痕、縛ったような痕もある。
あらゆる要人の急所弱みを握る女帝だが、流石に今回ばかりはソレだけでは足りなかった。足りない分を補っていた金は、もう無い。残ったのは女帝自身。虚言弄して、絡め獲り、溺れさせるしか、なかった。この一週間で、必要最低限とはいえ幾人もを相手にしなければならず、疲労し尽している状態。
「…気に食わんなら、半月待て」
歳をとって回復も遅くなっている。痕がすべて、綺麗に消えるにはその程度の時間が必要だろう。
「そうじゃない」
指に噛み付かれ、女帝は僅か驚いたように、やっとアカギと視線を絡めた。
「アンタが好きで痕を残させたわけじゃねえだろ」
「…当たり前じゃ」
ほろりと、本音を零してしまって、女帝はまた眉を顰める。しかしアカギはそんなことは気にしていないようだった。一体、何が言いたいのか。多少、困惑しながら覆い被さるアカギを観察してみる。静か過ぎる表情は、読み辛い。
無表情に近いその表情を、女帝は今まで見たことがないものだと、そこまでは看破した。つまり少なくとも喜悦ではない。
「………アカギ?」
女帝は男の名を小さく呼んだ。止まっていたアカギが、指を食んだままに見下ろす。目の奥を覗き込んだ女帝の背筋に冷たい電流が走った。
怒って、いる。
赤い目は女帝をじっと見つめながら、静かな怒りを浮かべていた。
「…何、を…」
声が掠れる。
この男は、何に怒りを抱いている。
女帝の胸が、大きな呼吸に上下した。背筋が汗ばんできているのが分る。
「…何を…ッ、苛付いておる…?! 私(わたくし)は約束を守ったろうが…っ!!」
ちゃんと、一週間、此処を護り此処でアカギを待ったというのに、何故こんな目を向けられなければならない。
理不尽を『アカギに』突き付けられたと感じた女帝は、怒号ともいえる勢いで吐き捨てる。
「クク…、確かに腹は立ったが… アンタに対してじゃない」
ふ、と、怒りが消えた。指先を解放したアカギは、痕のついた首をゆるりと舐める。
「連れて行けば良かったな」
「……ぁあ゛?」
「俺が入院してた病院に」
訳が分らない。そういう顔をした女帝に、アカギは小さく笑う。そうして口付ける、額に。
「そしたら誰にも触れさせなかった」
未だ困惑の極みの中、女帝は両腕で抱き締められた。









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