やっぱりメアリースーもまっつぁおな鷲巣ストーリーになった…w
某fkmtパロロワ、わしじゅさまの「出発編」を私が書くとこうなったですよ。
でも本編(仮)の「ピクニック気分」には勝てねぇや…。麦茶吹いたもんあの表現。
逸る心を抑えるのが第一。
1人、また1人、名を呼ばれていくのを聞き取りながら、鷲巣巌は意識的に冷静を保った。呼ばれる順番が五十音順だったのは幸いだ。誰がこのクソ下らない遊戯を思いついたのかは知らないが、少なくともただその一点だけにおいては評価をくれてやりたい。
赤木しげる。
その名を聞いたときの、後姿を見たときの、高揚といったら。
全身は小刻みに震え、頬が裂けんばかりの笑みが浮かんだ。あの餓鬼ともう1度対峙できる。続けて呼ばれる名前を耳に収めながら、鷲巣は静かに瞼を伏せた。
自分の名が呼ばれ、ともかく、外に出なければならない。出来る限り出発点から離れ、手近な茂みに隠れる。
支給品の武器防具は、中々のモノだった。恐らくこの遊戯においては最良の部類に入るだろう。こんな遊戯を思いつくくらいの主催陣だ、フォークだとか鍋の蓋だとかが入っていても不思議ではないという状況なのだから。
しかし、自分には少し重量がきつい。持ち歩いて長時間移動し続けるのは難しいだろう。鷲巣は老いを認めたがらないが、認めたがらないからこそ、正確に己が体力は把握している。ならば何処かで待ち伏せか。するなら。
「……病院じゃな」
マップを広げて確認する。
こんな遊戯をする島で病院とは。馬鹿にされているとしか思えないが、通常の思考の持ち主ならば、怪我をすればなんとかして其処へ行こうとするだろう。
手負いの相手ならば、容易い。幸い遠距離攻撃向きの武器を手に入れたのだ、病院周囲で張り付いて、のこのこやってきた怪我人を狙うのも良い。
続いてペンを取り出した鷲巣は、メモに参加者の名前を書き出していった。一番最初は赤木しげる、そして自分が呼ばれて外に出るまでに呼ばれた、名前を次々に。
鷲巣が努めて平静を保とうとした理由は此処にある。呼ばれていく名前をすべて、耳で聞いて記憶したかったのだ。
この遊戯は『ランダムに選ばれた人間が参加しているわけではない』。なんらかの繋がりのある人間が、主催陣の戯れの為に引き寄せられ、その楽しみの為に殺しあう遊戯。知った名が赤木の後にも幾つか呼ばれ、鷲巣はその仮説に確信を持った。
繋がりがあるならば、それを把握しておくに越したことはない。誰と誰が敵対しているか、協力関係か。最終的に自分が頼れるものは剛運と頭脳だということを鷲巣は理解していた。体力面では…認めるのは癪だが…参加者の中でも最低ラインにいる、我武者羅に突き進むなど愚の骨頂であった。
「こんなものか」
漢字はわからないが、まあいい。カタカナで記された名は44名分。鷲巣を入れれば45名。知った企業の後継者の名もあれば、新聞で見た殺人鬼の名も。兵頭の名があるのには、少し驚いた。これは息子の方だったか。アレをこんな所に放り入れられるのは、本人か父親かのどちらかしかないだろう。ということは、帝愛がコレに絡んでいるのは確定。
「…ふん!!」
鷲巣は極めて不快そうに鼻を鳴らし、リュックを背負った。
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